ホワイトラヴァーズ「永遠にあなただけを愛しています」







激しい戦闘の末。
ティエリアのヴァーチェは大破した。
そのまま、擬似太陽炉だけをトレミーに帰還させる。
「待っていて。あなたの元に、今行くから」
ゴホリと、血を吐いた。
折れた肋骨が、肺を傷つけていた。

血を吐きながら、ティエリアは静かに歌う。

世界は一度終わったのに 私はあなたと出合った
世界は一度終わったのに 私はあなたと出会ってしまった
世界の終焉から あなたは私を連れ出す
ロストエデン ロストエデン ロストエデン
失われた楽園に あなたは私を連れて行く
ロストチャイルド ロストチャイルド ロストチャイルド
終わりからの始まり あなたと私は歩きだしていく
私の世界は終わったのに あなたはそこから私を連れ去る
ロストエデン ロストエデン ロストエデン
失われた楽園に あなたは私を連れて行く
あなたの愛がそこにある わたしのためだけの愛がある
世界は一度終わったのに 私はあなたと出合った
世界は一度終わったのに 私はあなたと出会ってしまった
私はもう一度歩きだす あなたと一緒に新しい世界を
あなたに愛されながら 私もあなたを愛する
あなたの愛に包まれながら 私は生きる 歩みだす
ロストエデン ロストエデン ロストエデン
あなたの愛が 私の楽園 あなたの愛が 私の世界

「ロストエデンに、あなたの魂と一緒に」
ティエリアは涙を零しながら、微笑んだ。
永遠の愛を誓う。
誰にでもない、ロックオン・ストラトスという人間にだけに。
僕は、人間に恋をして人間になった。
後悔はしていない。
人間として生きれて、とても幸せだった。
ロックオンの傍にいられて、誰よりも幸せだった。
あたなが天に召されるというのなら、僕も一緒に。
二人は、いつも一緒だ。
あなたの傍に、いつも一緒に。

ねぇ、神様。
あの人の痛みを、僕に下さい。
あの人の魂を、僕に下さい。
かわりに、僕の魂を捧げます。

ティエリアの意識は、闇に堕ちていく。
深く深く。
果てしない闇へと。
虚空に向かって手を伸ばす。
その手を、しっかりとロックオンが握っていてくれた。
「ああ、そこにいたのですか、ロックオン」
ティエリアは、そのまま瞳を閉じた。

失われた楽園にまで、僕を一緒に連れて行って。
僕の世界は、あなたがいなくなったことで終わった。
もう、この世に生きている意味も未練もない。
ただ、あなたの傍にありたい。
たとえ魂だけの存在だとしても。
あなたを愛しているから。
こんなにも深く、愛しているから。

白く白く、恋人たちは雪に埋葬されていく。
ホワイトラヴァーズ。
翼も愛も、真っ白に溶けていく。
どうか、どうか。
このまま、白く染まってしまえ。
心も体も。
あの人を愛したまま、白く染まってしまえ。

愛しています。
永遠に。
あなた、だけを。

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