銀の乙女







「アレルヤ、お帰りなさい」
アレルヤとマリーは、ドイツに小さな家をもって一緒に住むこととなった。
もう戦いも終わり、トレミーで過ごす必要はなくなった。
「ただいま、マリー」
アレルヤは今、CB研究員の一人として働いている。マリーは花屋でバイトをしている。マリーは花が大好きだった。いろんな色、匂い、形。
二人の家には、いつも綺麗な花が飾られ、庭も一面に花が咲き乱れていた。
「マリー、お土産だよ」
そういって、アレルヤは小さな包みをとりだす。
「まぁ、綺麗」
ムーンストーンの指輪だった。
「月の涙ね」
「マリーは銀の乙女だから。ムーンストーンが似合うと思ったんだ。思ったとおり、よく似合っているよ」
マリーの指にはめ、アレルヤが嬉しそうに笑う。
マリーは、はめられたムーンストーンの指輪を天井にかざす。
キラリと輝く、月の涙。
「アレルヤ、まだ給料前でしょう?平気なの?」
マリーが、嬉しそうではあるが、そう心配をした。
「大丈夫だよ。ちゃんと、貯蓄してあるし。王留美さんの口座はそのままだから、その気になればもっと豪邸を買えるし、働かなくてもいい。でも、僕はそれじゃ嫌なんだ。ちゃんとした家庭を、マリーともちたいから」
「それでこそ、私のアレルヤよ!」
マリーはアレルヤに思い切り抱きついた。
そのまま、アレルヤはよろけてソファーに倒れこむ。
マリーがその上から圧し掛かり、キスをする。
「うふふふふふふ」
「マリー」
「いつも素敵なプレゼントをありがとう。料理くらいでしか、返せないけれど」
「言葉だけで十分だよ、マリー」
二人は深く口付けする。
庭には、マリーゴールドの花がたくさん咲いている。
いつか見た金色の海の虜になったマリーは、マリーゴールドが大好きだった。
アレルヤも、マリーゴールドの花が好きだった。
マリーの名前を冠して、そしてマリーの太陽の色を宿した花。
二人は、そのまま夕飯を食べて、散歩に出かける。
公園につくと、マリーはブランコをこぎだした。
その背中を、アレルヤが押す。

「大好きよ、アレルヤ!」
「僕も大好きだよ、マリー!」
手を繋いで、また道を歩きだす。
マリーの指には、ムーンストーンの指輪が光っていた。
そのまま、銀の月を見上げて、マリーが微笑む。
「お月様の涙が、きっとムーンストーンになるのね」
「そうだね」
二人、寄り添いあう。
もう、二人の愛を阻むものはなにもない。
二人は、手を握り合いながら帰宅する。
月はいくつもの涙を零す。
その一つが、きっとムーンストーンとなってマリーの指を飾っているのだ。

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不定期連載、2期終了後のラブラブアレマリ。
砂糖吐くほどに甘く。