飲みかけ







ロックオンは、食後にコーヒーを飲んでいた。
ブラックコーヒー。
じっと、隣に座っていたティエリアが、ロックオンの顔を見つめている。
そして、何を思ったのか知らないが、ロックオンの手からブラックコーヒーの入ったカップを奪うと、その全部を一人でほとんど飲んでしまった。
「おいおい、苦いぞそれ」
そして、綺麗な眉を寄せる。
バンバンと、テーブルを数回叩く。
「苦い」
バンバンバン。
口の中の苦味をとろうとあがいているのか、何故にテーブルを叩く。
「堪らない、なんて苦さだ」
「だから言わんこっちゃない」
空だったコップを手に持って立ち上がると、ドリンクコーナーの前にいき、いつものホワイトメロンソーダを入れる。
ティエリアはロックオンの隣に戻ると、ストンとすわり、ホワイトメロンソーダを口にする。
バンバンバン。
またテーブルを叩く。
「苦さとホワイトメロンソーダがまざって不味い!」
ポテリ。
ティエリアは力尽きた。
「何がしたいんだ、お前さんは」
「あなたの飲んでいたものを、飲みたかった。それだけです」
起き上がると、ロックオンに無理やりホワイトメロンソーダを飲ませた。
「うへぇ、苦さと甘さがからまって不味い!」
「でしょう」
「だから、何がしたいんだお前さんは」
ロックオンがため息を出す。

ぎゅっと、ロックオンの服の袖を握り締めて一言。
「暇なんです。構ってください」
その一言だけで、ロックオンはKOした。