南の島でひゃっほい・ビーチボールでひゃっほい後編







「おのれ、刹那めえええ」
めらめらとロックオンが燃え上がる。
刹那がマングースなら、ロックオンはハブか?
天敵同士みたいだ。
「まぁまぁ、ロックオン、落ち着いて」
ティエリアがサーブをする。
それを、アレルヤが拾い上げ、ロックオンが叩き落す。
刹那の顔に向けて。
「わぷ!」
刹那は見事に顔でビーチボールを受け取った。
「決まったぜ!」
キラリンと、白い歯を輝かせるロックオン・ストラトス現在24歳。
なんて大人げのない。
「ロックオン・ストラトス、許すまじ!」
刹那がゆらりと立ち上がる。
アレルヤのサーブを、刹那が弾いた。そのまま、敵地の落ちる。
アレルヤもロックオンも拾えなかった。
メラメラメラ。
「俺はガンダムだ!!」
紅く燃え上がる刹那。
試合にガンダムとか関係あるんですか?

そのまま勝負は続く。
アレルヤとティエリアは普通に勝負したが、ロックオンと刹那は互いの顔にビーチボールを決めようと必死だ。
もう何度めになるかも分からないサーブをティエリアが放つ。
それを、受け止めるロックオン。
そのまま返させる。
狙いは刹那の顔。
刹那はまた顔で受け止めてしまった。
そして何度めになるかも分からないサーブを刹那が打ったとき、それはロックオンの顔面に決まった。
「ふっははははは、刹那ああああぁぁぁぁ!」
「くくくく、ロックオン・ストラトスぅぅぅぅう!」
ゆらり。
立ち上がっては、それぞれビーチボールを相手の顔に決めようと必死になる。
もはや、普通の試合になっていなかった。
ボス!
ビーチボールが、アレルヤの顔に直撃する。
アレルヤは穏やかな表情から一遍して、目を剥いた。
「なめてるんじゃねぇぞ、このくそがきどもがあああああ!!」
ハレルヤの降臨であった。
そのまま、ハレルヤもまじって、もはやネットも関係なしでビーチボールを打ち合う。
ティエリアの顔めがけてきたボールを、ティエリアはその動体視力でさっと避けた。
「ティエリアだけずるいぞ」
「ティエリア・アーデも俺たちの仲間になれ」
「ティエリアよお、ここは空気ってものを読んで大人しく顔面でうけとめやがれ!」
もはや、野獣か、この三人は。
「やってられない」
ティエリアは抜け出した。
刹那、ロックオン、ハレルヤはギャーギャー言い合いながら、ビーチボールの乱れうちをはじめる。
ボールも2つに増やされた。
ティエリアはパラソルの下にくると、スポーツドリンクを口にする。
やがて力尽きた三人は、仲良く白い砂浜で伸びていた。
ズルズルと、ロックオンの足をひきずって、パラソルの下にもっていく。
そのまま、真水でぬらしたタオルで、ロックオンの顔についていた砂を綺麗に拭き取る。
刹那とアレルヤは放置だ。
ティエリアはパラソルの下にひいたビニールシートの上にロックオンを横たえる。
そして、手を胸の前で組ませると、咲いていたハイビスカスをとってきて、ロックオンの横に供えた。
「南無阿弥陀仏」
死んでないっつーの。
ティエリアは満足したように、青い空を見上げると、ロックオンの隣で丸くなって、まどろむのであった。



NEXT