「カプセルのハッチが開く。 ザパァァァァと、金色の羊水が流れ出る。 ティエリアは、カプセルの中で蹲った。ガタガタと、身を震わせている。 ティエリアの体には、いくつものキスマークが、体を誰かに抱かれた痕が浮かんでいた。 乱暴された形跡が見られる。痣や鬱血、それに争ったのか、腕には鋭い刃物できったような痕がいくつもある。 「刹、那・・・・。ライル・・・・許して・・・・・僕は・・・・」 いくつもの涙を浮かべるティエリア。 「ティエリア!」 ライルがかけよって、自分の上着を脱ぐと、ティエリアに羽織らせた。 「貴様・・・・ティエリアに・・・・!!」 「だって、ティエリアは僕のものだもの。自分のものにして、当たり前だろう?」 「殺す!」 刹那が、リジェネに向けていた銃口の引き金をひこうとした。 「ダメ・・・・・!」 ティエリアが叫んだ。 「ティエリア、いい子だね」 にっこりと、リジェネは笑う。無邪気に、残酷に。 「ティエリアと僕は深い精神連結をして、まだそれが切れていない。僕を殺すと、ティエリアの自我が壊れるよ?それでもいいの?それでもいいなら、僕を殺しなよ」 さぁと、心臓にわざわざ刹那の持った銃口を当てる。 「貴様・・・・!」 刹那が、銃でリジェネのこめかみを殴った。 「あははははは。ははははは。愛してるよ、ティエリア。ねぇ、こんなにも愛してる。一つになった時もあんなに暴れて・・・・僕に大人しく抱かれないで・・・助けてロックオン、助けて刹那、助けてライルって、そればっかり。どうして、君は僕を受け入れないの?君は僕のものなのに。どうして、僕を拒絶するのさ!僕の兄弟なのに、どうして!!」 こめかみから血を流しながら、リジェネは狂ったように笑う。その金色の瞳から涙を溢れさせながら。 「愛しているよ、ティエリア」 「嫌!来ないで!」 ガタガタと身を震わせて、ライルにしがみつくティエリア。 「僕の愛を受け入れなよ。楽になれるからさぁ。ねぇ、ティエリア。愛しているよ。リボンズよりも、誰よりも、あのロックオン・ストラトスよりも愛しているよ」 「嫌!君なんて嫌い、大嫌い!来ないで!」 歩み寄ろうとするリジェネを、刹那が首に鋭い手刀を叩き込み、気絶させた。 「嫌、嫌、いやあああああああ!助けて、ライル、刹那、・・・・・・・・・・ロックオン、助けて、助けて!!」 記憶が混濁している。 リジェネに無理やりレイプされた記憶が蘇る。 「嫌、いや!」 涙を浮かべるティエリアを、リジェネを気絶させた刹那が抱きしめた。 「俺は、ここにいるから。ティエリア、ちゃんと傍にいるから」 「助けて、ライル、刹那、ロックオン!」 「俺はここにいる。ティエリア、俺を見ろ!!」 白い頬を挟み込み、石榴色に戻った瞳を強く見つめる。そのまま、唇を重ねる。 ライルは、静かにその様子を見守っていた。 「俺も、ここにいるから」 ティエリアの肩に手をかけて、ゆっくりといい聞かせる。 「ナイトクロスが、お前を守ってくれる。ロックオンが、お前を守ってくれる」 「ナイト・・・クロス・・・・刹那がくれた・・・・夜の十字架・・・・・・・・ロックオンが、僕を守って・・・・」 ゆっくりと手を伸ばす。 その手を、しっかりと刹那が握り締めていた。 「ナイトクロスは、ここにある」 一度はリジェネに身につけさせたナイトクロスを、しっかりとティエリアの手に握り締めさせる。 「・・・・・・・僕を、守ってくれるって・・・・・ナイトクロスが・・・・僕を・・・」 そのまま、ティエリアは意識を失った。 ライルと刹那は、急いでティエリアを抱きかかえ、ガンダムを発進させてトレミーに戻った。 そのまま、治癒カプセルにいれられ、暴行を受けた傷は治った。 刹那は恐れていた。ティエリアが目覚めないのではないだろうかと。ライルも同じ思いだった。 NEXT |