「刹那。僕はイノベーターだ」 「それでも、ティエリアは人間だ」 リボンズとの出会いが、ティエリアを揺るがした。 それすらも、刹那は包みこむ。大きな包容力で。 「僕は・・・・ロックオンと出会えて良かった。人間になれた。そして、刹那と出会えて良かった。ライルとも出会えて良かった。こんなにも、愛されている。もう、誰も愛さないなんていわない」 刹那の手が、愛しそうにティエリアの頭を撫でる。 「ティエリアは、俺たちの仲間だ。もっと自信をもつといい」 「ああ、そうだね」 ティエリアも頷いた。 「ジャボテンダーさんヘッドアタック!!」 刹那の部屋で、ティエリアはジャボテンダー抱き枕の頭で刹那の頭を何度もべしべしと殴る。 「あっ・・・・」 ジャボテンダーごと、引き寄せられる。 「愛しているから。守るから。ずっと、傍にいるから・・・・」 「刹那・・・・」 そのまま、目を閉じると深く唇を重ねられた。 「僕は、がむしゃらなまでに人間として足掻いて、人間として生きて、人間として変わっていく」 「ああ。ティエリアは人間だ。俺たちの、大切な仲間だ」 刹那は、愛しげにティエリアの石榴の瞳を見つめる。 「ところで。その格好は・・・・・食べてしまってもいいのか?」 人工バストはなかったが、ティエリアが女装した時のドレスをティエリアは着ていた。 「ロックオンに、見て貰おうと思って・・・・・食べちゃだめ・・・・」 頬を染めるティエリア。 「人工バストなんかで嘘をついた肉体じゃない、僕の本当の姿を、見て貰いたくて・・・・・」 こりゃもう、辛抱たまらん。 「胸なんてスカスカで、似合ってないだろう?」 「そんなことはない」 AAカップのティエリアの胸は、確かにスカスカだったが、それを補う魅力がそこかしこに溢れていた。 「ロックオンも、天国から見ているさ」 「そうだと、いいな」 ちなみに、ガーターベルトはしているし、下着も際どい女性ものだ。 動くと、腰まで入ったスリットから太ももの白い肌が見えまくりだ。下着まで見えるが、ティエリアは気にしたそぶりも見せない。 自分がどんなに魅力的な格好をしているのか、気づいていないのだ。 「その姿で、ライルの前やアレルヤ、他の男の前に出るなよ」 「もう、みんなに見せた。みんな、なぜか鼻血をふいて倒れていった。なぜかなぁ?」 分からないと、あどけない表情で首を傾げる。 ああ、もう。 ティエリアは、これだから。 知らない間に男たちと悩殺しているのだ。 幼い体に女性らしいマーメイドドレスは、けれど不思議と似合った。 胸はとってもスカスカだったけど。 「ナイトクロスが、お前を守ってくれる。もしくは、ナハトクロイツ」 「夜の十字架・・・・」 首からぶらさげられたペンダントに、愛しげにキスをするティエリア。 「僕は、君を・・・・・愛してよかったと、思う」 スリットの入ったスカートから、太ももがちらつく。 「・・・・・食べてもいいか?」 耳を齧られた。 「・・・・・・・・・・僕は」 一瞬、迷う。 天国のロックオンに、見て貰いたくてもう一度この格好をしたのはあるけれど、視察で刹那とは別れ別れになって、あまりドレス姿を見せてあげることはできなかった。 「刹那になら、僕は・・・・食べられてもいい」 頬を薔薇色に染めて、爆弾発言をする。 スっと刹那が立ち上がり、何度もジャボテンダー抱き枕に頭をボスボスとうちつける。 理性との戦いであった。 ジャボテンダー抱き枕を抱きしめて、ティエリアはスリットの入ったスカートを翻して、ガーターベルトを触る。 「刹那・・・食べて?」 ヒュルルルルルドカーン。 刹那の心を、ティエリアの甘い声が爆撃した。 「後悔しても、知らないからな?」 ベッドに押し倒される。 「・・・・・・優しく、して?」 たまらん。 ほんとにまたらんは、これは。 刹那は、精一杯優しくティエリアを抱きしめ、キスをして、ドレスを脱がしていく。 無性の体は、甘い吐息を吐きながら、溶けていく。 一つに。 ナイトクロス。 夜の十字架。 ナハトクロイツ。 夜の十字架。 夜の十字架に祈りを捧げる。 僕を守ってくれるこの十字架に祈りを捧げる。 誰でもない、君がくれた大切なもの。君のかわりに僕を守ってくれる十字架。 夜の十字架のように、見守ってくれる。 君がくれた大切なもの。君と僕は、魂の双子。比翼の鳥。 僕の世界は一度終わった。愛しい人の死によって一度終わった。 ロストエデンの唄のように、君はそこから僕を連れ出す。一緒に歩こうと、僕に手を伸ばす。僕は、躊躇いながらもゆっくりとその手をとる。握り締める。抱きしめられる。 確かにそこにある、暖かな体温。懐かしい、失ってしまった温もり。僕を包み込んでくれる。 ナイトクロス、ハナトクロイツ。夜の十字架を、僕は大切に身につける。 ナイトクロス The End Presented by Masaya Touha ナイトクロスが、二人の愛に涙を零す。 ------------------------------------------------------------------------ あーあーあー。難産でした。 飯も食わずにまぁ・・・・7時間?ぶっ続けで執筆。 誤字脱字多そうだなぁ。 恵様へ。リクエストをくださったナイトクロス、捧げます。 |