エメラルドの瞳が、じっとテェイリアを見つめていた。深い翠の瞳は、翡翠のようにも見える。なんて綺麗な瞳なんだとティエリアはいつも思う。ここまで綺麗な瞳は、他に見たことがない。 優しく、やわらかい表情でロックオンはティエリアを包み込む。 言葉のない変わりに、そっと優しく抱きしめられる。 ティエリアは、戸惑いながらもおずおずとその背中に腕を回す。 「ティエリアは抱きごごちがいいな」 「そうですか?」 華奢で細い肢体は、女性のような柔らかさにかけている。男性のように硬くはない。滑らかだ。豊満ではないがとても腕の中で抱きしめるとなじむ。 人工の光が、ティエリアの頬に、長い睫の影を落とす。 首には、以前買ってもらってよくつけている黒のガーネットのついたチョーカーが光っていた。 紅い、宝石。 ティエリアの瞳のように、紅いガーネット。真紅ではない。明るい紅だ。光に明滅する、煌く、紅。 そっと、触れるだけのキスがくる。 ティエリアは、震える体でそれを受け入れる。 真摯な眼差しで、一言。 「ティエリアは綺麗だな」 どうしてだろう。 いつも、誰にもでも綺麗だ、美人だと言われて言われなれているはずである。 ティエリアの容姿は絶世の美貌として作られているのだから、容姿を褒められることはもう聞き飽きた。 なのに、どうしてだろう。 胸がとてもドキドキして、止まらない。 「僕、用事を思い出したので、戻りますね」 「おい、ティエリア」 ロックオンを置いて、ティエリアは廊下にでた。 シュンと音をたてて扉がしまる。 うつむいて、ドクドクと脈打つ心臓の動悸に、甘い吐息が桜色の唇からもれた。 「僕は・・・・一体、どうして・・・・」 じっと、壁を見てからうつむく。廊下と睨めっこする。 心臓の動悸がとまらない。 薔薇色に染まった頬は、上気しまま白い肌をほんのり色づかせている。 サラサラの紫紺の髪が、うつむいたことで音をたてて顔にかかる。 「何度も言われた事のある言葉なのに、あの人が言うとどうして・・・・」 どうして、こんなにも胸が苦しく切なくなるのか。 溢れ出す感情。 おさえきれないほどに、溢れ出す。 この感情は何? 壁によりかかり、ずるずるとしゃがみこんだ。 シュンと扉が開き、ロックオンが出てくる。 「どうしたんだ、ティエリア」 「この感情はなんでしょうか。とても胸が苦しくて切なくなります」 「なんだ、そんなことか。それはな、恋をしているからだ」 「恋を?」 「そうだ。ティエリアが俺に恋をしているから、胸が苦しくて切なくなるんだ」 「あなたのせいです。責任をとってください」 立ち上がって、ロックオンにしがみつく。 「愛しています」 「俺も、愛しているよ」 そうだ、これは愛という感情の一つだ。 恐れることなど、何もないのだ。 だって、僕はこんなにもロックオンを愛しているのだから。 ------------------------------------------ タチバナ様のサイトの妄想を勝手に小説にしてしまいました! タチバナ様、かってに拝借してしまって申し訳ありません(切腹!) |