食堂で、一緒に座ってケーキを食べていた。 甘いものが好きなティエリアが、わざわざ大嫌いな地上に降りてまで、ロックオンの分も買ってきてくれたのだ。無論、一緒に食べるロックオンであった。 甘いものは嫌いではない。過剰に摂取するのは体によくないが、こうして時折間食として食べるくらいならいいだろう。 トレミーでは、ミス・スメラギが甘いものの食べ過ぎとアルコールの過剰摂取で、体重計に乗ってはよく、壊れたヘヴィメタルのバンドのように髪を振り乱しているが。 あれは、一種の中毒のようなものだろう。 ティエリアもたまに過剰に甘いものを食べるが、全く太らない体質のようなので、体重が変動することはない。 「観念してくださいね、ケーキさん。いざ、勝負！」 隣でティエリアがまたおもしろおかしいことを言っている。 ケーキと勝負なんてできるはずがないだろうに。 そのままフォークで綺麗に一口分ずつカットして食べていくティエリア。 ロックオンはケーキにフォークをさすと、そのままもぐもぐと食べる。 「ロックオン。ほっぺたについてますよ？」 ティエリアが、キスをするようにロックオンの頬についたクリームを舐めとった。 「指にもついています・・・・子供みたいですね」 そのまま、指も舐めとられる。 あー。 あーー。 これを、無意識にやってるのだから、性質が悪い。 指を舐めとるその仕草に、背筋が粟立つ。 「なぁ。ケーキもいいけど、ティエリアも食べていい？」 途端に、頬を染めて真っ赤になるティエリア。 「だめです。こんな昼間から・・・・食べちゃ、ダメです」 艶かしい仕草とちぐはぐな、幼い表情。 それがまたそそる。 ティエリアには分からないだろう。 どうして、こうまで男心をくすぐるのだろうか、ティエリアは。 「じゃあ、夜なら食べちゃってもいいの？」 「それは・・・・だめです」 「どうして？」 真っ赤になって俯くティエリアを覗き込む。 「おとつい・・・・僕を食べたばかりではありませんか」 おとついの、艶かしいティエリアを思い出すロックオン。 にまにまと、顔がにやけてしまう。 「食べられるのは・・・嫌いではありません。愛されていると、実感できるから。でも、頻繁だと、僕が参ります。無性の僕には、ああいった行為はきついのです・・・・すみません」 「いや、こっちこそ、ごめんな？」 頭を撫でるロックオン。 女性でないティエリアを抱くのは、ティエリアに負担をかける。 おとついだって、出血してしまった。 「食べるのは・・・・今度に、してください」 言ってから、また顔を赤らめる。 「今度なら、食べちゃってもいいの？」 「・・・・・・・・・・・・・あなたになら、食べられても構わないと、前にもいったはずです」 かぁぁぁぁぁ。 ボン！ ティエリアは顔から火を噴いた。 「おーおー、真っ赤になっちゃって。かわいいなー」 なでなで。 撫でられるままに、ティエリアは俯く。 「ジャ・・・・・」 「ジャ？」 「ジャボテンダーさんクロス！」 隣の席に置いていたジャボテンダー抱き枕をもって、ティエリアは自分の手をクロスさせてロックオンの首を締め上げた。 「ぜはーぜはー」 ロックオンは、きゅうと伸びた。 ティエリアは格闘技がずばぬけていて、身体能力も高い。力がない分、瞬発力と俊敏性、相手の弱点をつくことにずば抜けている。 そのまま、伸びたロックオンを放置して、ティエリアはアレルヤの部屋に遊びに行った。 「どうしたの、ティエリア。何かあったの？」 「なんでもない！格闘ゲームをするぞ！」 「はいはい」 ティエリアがお気に入りの格闘ゲームを二人でやりだす。 その頃、食堂で伸びたロックオンを見つけた刹那は、油性マジックでロックオンの顔に髭と額に肉と書き、後で怒られながら追いかけまわされるのであった。 今日もトレミーは平和だ。 |