「確か、このあたりに・・・方角でいえば、こちらに」 ロックオンだけでなく、アレルヤ、刹那も腕まくりをして探してくれた。 快晴だったのに、ちらちら雪がふりはじめた。 もう探し始めて3時間以上になる。 一向に見つかる気配はなかった。 日が暮れる。 闇夜の中、ロックオンが切り上げの声を出した。 明日はもう、このスキー場をたつ日だ。 「・・・・・お気に入りだった、のに」 枕を抱きしめて、涙を零す。本物の鉢植えを買ってもらったし、花畑まで見せてもらった。対となるブルーサファイアの忘れな草の髪飾りよりも、ブルートパーズのその水色が気に入っていた。 「ロックオン・・・遅いな・・・」 そのまま、ティエリアは眠りについてしまった。 泣きはらした紅い目が痛々しい。 「準備終わったか?」 「終わったよ」 「終わった」 ティエリアは無言だった。よほど、あの髪飾りを気に入っていたのだろう。 やがて王留美の手配したヘリコプターがやってきて、それに乗り込む。 「さようなら、空色の忘れな草の髪飾り。短い間だったけど、幸せをありがとう」 雪原に向け手を振る。 片方のない髪飾り。ブルーサファイアの髪飾りだけをしていた。 ヘリコプターの中で、ロックオンがティエリアの頭を撫でた。 「取り返しのつかないことをしてしまいました」 「ほら、泣くなよ」 「でも、せっかくあなたが買ってくれたのに。お気に入りだったのに」 ティエリアの、髪飾りがついていない反対に、ロックオンが髪飾りをつける。 「これは・・・・見つけてくれたのですか!?」 それは、ティエリアがすきな水色の忘れな草の髪飾りだった。 「正直、諦めかけてた。でも、諦めたらそこで負けだ」 「ありがとう!大好きです!」 ヘリコプターの中で、ロックオンに抱きつくティエリア。 「おほん」 アレルヤが咳払いをしても、二人は抱きしめあったままだった。 そして、見つめあって深くキスをする。 ロックオンの手が、ティエリアの髪飾りを撫でる。その上から、ティエリアは白い手を重ねる。 「離さないで」 「離さない」 「髪飾り、なくなってしまうところでした。本当にありがとうございました」 「ティエリアのためなら、なんだってするさ」 「手が・・・こんなにもつめない」 ロックオンの両手を挟み、息を吹きかける。 スキーでひゃっほい。 アホだったけど、そこは確かに愛もあった。 |