「何度言えば分かる!私はマリーではない、ソーマ・ピーリスだ!」 「マリー!誓ってくれ、もう二度とあんな危険な真似はしないと!」 アレルヤは引き下がらない。 いつもなら、ソーマがまくし立てると、一人にしてくれるのに。 今回だけは、腕を掴んだまま離されない。逞しい体に抱きこまれ、そのまま宙を漂う。 「ソーマ・ピーリスだ!!」 「マリー」 「アンドレイ少尉を・・・・大佐の敵を・・・・」 「沙慈・クロスロードって人がいってたじゃいか。復讐のために殺しても、大佐は生き返らない」 「それでも、私は!!」 「マリー!!」 唇が、重なった。 「何をする!」 ソーマはアレルヤを平手打ちする。 真っ赤になったソーマに、アレルヤは穏やかな笑顔を向ける。 「いつもの、マリー・・・ソーマだね」 「え・・・・」 ツンケンした態度の、ソーマがそこにいた。 復讐に燃えるソーマではなく、超兵ではあるが、一人の女性としてのソーマが。 「お前の考えていることは、分からない」 「いいんだよ。それで。人は複雑だから」 また抱き寄せられる。 金色の瞳は、しっかりと閉じられ、アレルヤの背中に手が回された。 愛されているって気づいているのに。 ねぇ。 復讐では何も生み出せないって分かっているのに。 ねぇ。 復讐では憎悪しか生み出さない。分かっているのに。 でも。 止まらないんです、大佐。 あなたを失った痛みが大きすぎて、仇討ちをしたいと心から思うのです。 これは、罪でしょうか。 大佐。 もう答えてくれる声も、伸ばされる手もない。 |