リボンズが、はじめてリジェネに手をあげた。 リジェネ自身、驚いていた。リボンズは自分に執着しているという自負が根底にあったのだ。それを覆された。別に、捨てられてもどうでもいい。 だが、破棄されるとなると話は変わってくる。 自分の意思で行動できない。 まさか、リボンズに王留美にヴェーダのポイントを標したメモを渡し、それをCBに届けるよう後押ししたのがばれていたなんて。 こうなれば、もうおしまいだ。 「ああ、ネーナかい?もう、王留美とのお遊びも終わりだよ。僕の創造主様にばれてしまってね・・・ビンタをくらったよ、生れて初めて。いたくお怒りのようで・・・次にこんな真似をしたら、消すと言葉なく言われたよ」 「きゃはははは、何それ!あんたでも、リボンズにかなわないんだ!」 通信先のネーナは、イノベイターではないが、同じ細胞を持っているために、イノベイターに似た作りになっていて、まぁイノベイターと人間のハーフといったところだろうか。 「もう、茶番はおしまいだ。王留美に存在価値はない」 「マジ?やちゃっていいわけ?ねぇ、殺してもいいの?殺してもいいの?殺してもいいの?」 何度も聞いてくるネーナは、精神の何処かが完全に壊れている。特に、嗜虐的な部分が真っ先に出る傾向があって、扱うにも少し注意がいる。 「お嬢様、用済みなんだぁ。へぇ。ニィニィズを殺した奴と同じお嬢様・・・富も権力も地位も名声も美貌も若さも・・・全てそろっているお嬢様が。きゃははははは、さいっこう!!」 「ネーナ、ちゃんと聞いているかい?」 「聞いてるわよ。やっと殺せるんだぁ。ああ、あたし幸せかも」 通信先で、ネーナはうっとりと呟いている。 「殺し方は、あたしの好きなようにやってもいいよね?」 「ああ、好きにするといい」 リジェネは氷の花のような美貌を、艶やかに微笑ませる。歴史から、一人の人間がまた姿を消す。それが財政界で大物であるというだけだ。 「王留美か・・・・」 一人ごちる。いつも、リジェネの傍によくいた。 最近気づくと、王留美の存在がリジェネの心を占めていた。 「ばかばか、しい」 この感情が、恋などということは決して認めない。 なぜなら、僕はイノベイターで王留美は下等な人間だから。王留美も、リジェネの美貌に酔い、そしてリボンズにうまく組みいろうと、リボンズのお気に入りであるリジェネに近づいてきただけだ。 お互いを利用しあっていた。 「さようなら、王留美」 リジェネはリボンズに殴られ、フレームが少し歪んでしまった眼鏡を捨てる。 「きゃはははは!!死んじゃいなよ!きゃははははは!死ね死ね死ね死ね死ね!!!お嬢様ぁ、世界から消えちゃってください。きゃはははははは!!」 ガンダムに乗ったネーナが、そのイノベイターの能力で王留美の乗った宇宙船を支配下に置き、脱出もできなくしてから、絶望の時間を与えて、ゆっくりとビールライフルの引き金をひいて、そのあとはもう完全に宇宙船が爆破しても、狂ったようにビールライフルでうち続けるネーナ。 「お嬢様ぁ、どうですかぁ?弱者の味は?美味しいでしょ?あーっはっはっはっは」 「ネーナ・・・・・少し、やりすぎではないかい?」 「あら、リジェネ。お嬢様のことが好きだったの?」 「バカなことを。誰が、下等な人間など好きになるものか。僕が好きなのは、ティエリア・アーデただ一人だよ」 「リジェネも狂ってる〜。キャハッ」 「君ほどではないと思うがね」 通信は切れた。 「あーあー。お嬢様殺しちゃったぁ。しばらくつまんないなぁ」 ネーナは、子供のように無邪気に笑うのであった。 |