そのときが、くる







「アニュー・・・・愛しているのに、何故」

「しつこい。私はイノベイター」

金色に光った瞳のアニューに、人間として生きていた頃の記憶はまるで霞みのように消えてしまっている。

「アニュー・・・・俺が、お前を守るから」

モビルアーマーで出撃していったアニューの後を追うように、ガンダムケルヴィムを発進させる。

通信が入った。

こんな一刻を争うときに、誰からだ!

ティエリアからだった。

「君は、アニューを取り戻せ。喪って、僕のようにはなるな」

「ティエリア・・・・」

「絶対に、取り戻してみせるぜ!」

「信じている・・・」

そのまま、ケルヴィムが発進する。

アニューが叫んでいる。涙を流しながら。

アニューを、取り戻すんだ。愛している人を。喪わない。

ビームライフルに照準をあわせながら、ライルは叫んだ。

「アニュー、戻って来い!!お前がいるべき場所は俺たちの、トレミーの中だ!お前は人間だ!アニュー・リターナという人間だ!!」

そう。
昔、ティエリアにニールが叫んだ言葉にそれは似ていた。
ティエリアは祈る。


どうかこれ以上、愛している人から愛しい人を奪わないで、と。
ロックオン。一緒に、祈ってください。