ジャボテンダーの優雅な一日







「おはようございます、ジャボテンダーさん。今日も一日よろしくお願いいたします」
ティエリアは、眠そうな目をこすって、ジャボテンダーを抱きしめる。
そして、ベッドの上で正座をしてペコリとジャボテンダーにお辞儀をした。

朝食は、いつも通りロックオンと食べる。いつものカウンターの席の隣にジャボテンダーを置いて、水のはいったコップを置く。

「では、光合成をしにいきましょうか」
ジャボテンダーを抱きしめて、ティエリアはデッキに出る。
太陽の光がまぶしい。

ジャボテンダーをデッキの床に放置して、ティエリアは歌いだす。

題名は「ジャボテンダーさんと私」


ジャボテンダー ジャボテンダー
サボテンダーじゃないのよ
ジャボテンダーなのよ〜
針万本攻撃が得意なの〜
緑と黒のしましまにつぶらな黒の瞳
針万本攻撃あなたも受ける?
サボテンダーじゃないのよ
ジャボテンダ〜なのよ〜

とても綺麗な声で、変な唄が流れる。
それを、ロックオンが隣で笑いながら聞いていた。

3回くらい同じ歌を歌う。
ティエリアは、欠伸をした。

「ジャボテンダーさん・・・眠いですね。お昼寝にいきましょう」

そのまま、ジャボテンダーを抱きしめて、ロックオンの手を握り締めて、トレミーの廊下を歩く。
ロックオンの部屋にくると、ティエリアは当たり前のようにロックオンのベッドに寝転び、隣にお日様の匂いのするジャボテンダーを置いて、更に隣にはベッドからはみだして落ちそうなロックオン。
一緒に、三人でお昼寝。

夕方になると、夕食をとって、ティエリアはロックオンの部屋のバスルームをかりる。
先に、ロックオンが風呂にはいっている。

「ジャボテンダーさん、入りマース」
「うわぁ、またか!」
もはや、ティエリアと一緒にお風呂に入るのも慣れてしまった。

ティエリアの手から、ぶんとジャボテンダーが勢いよくとんで、ロックオンの頭をばしばしと何度も殴る。愛しいだろうに、この扱いはなんなのだろうと時折思う。

ジャボテンダーとロックオンとティエリアは、仲良く狭い湯船に浸かる。

ジャボテンダー ジャボテンダー
サボテンダーじゃないのよ
ジャボテンダーなのよ〜
針万本攻撃が得意なの〜
緑と黒のしましまにつぶらな黒の瞳
針万本攻撃あなたも受ける?
サボテンダーじゃないのよ
ジャボテンダ〜なのよ〜

綺麗な声で、でも変な唄を歌うティエリア。
いっそ音痴ならまだましだったかもしれない。
美しい声で歌うのだから、その内容とのギャップの差が笑いを誘う。

湯気でもあもあした浴槽で、ティエリアはジャボテンダーの体を洗い出す。
ボディーソープで全身マーッサージ。
「はーい、ジャボテンダーでロックオンの体あらいまーす」
「またかよ・・・・簡便してくれ」
そのまま、またジャボテンダーに体を洗われるロックオン。

「お返しだ」
ジャボテンダーさんに体を洗われるティエリア。
「ロックオンのえっち!」
ティエリアは、泡だらけになったジャボテンダーさんでロックオンを殴った。
お互いに体や髪を洗いあったりはするが、そこに性的な意図は全くない。でも、ジャボテンダーさんで洗われたことが恥ずかしかったのが、べしべしとロックオンを殴る。

「ティエリア、裸まるみえー」
ロックオンがそういうと、ティエリアはざぶんと泡をつけたまま、桃の湯がはいった湯船に顔まで真っ赤になってつかってしまった。
「かわいい」
ロックオンはいつも腰にタオルをかかさない。
紳士だ。

その点、ティエリアはロックオンがバスタオルを胸の位置まで巻いても、どうどうと裸になる。
漢だ。ある意味・・・・。

「ロックオンのえっちー。ジャボテンダーさんもそう言ってる」

「はいはい」

泡にまみれたジャボテンダーを洗う。

そして、風呂からあがると、二人はパジャマを着る。
ロックオンは浴槽にそなわったその名も「一発でかわくんです」という乾燥機を発動させる。
デイジーさんの発明だ。
言葉通り、一発で乾いた。科学って不思議。

桃の香りのするジャボテンダーさんを、抱きしめる。
今日もまた、ティエリアはロックオンの部屋にお泊りだ。
ここ最近、自分の部屋に帰ってないのではないかというくらい、一緒のベッドで眠っている。

「ほら、電気消すぞ」
「はーい」
ティエリアは、ジャボテンダー抱き枕をロックオンごと抱きしめる。

ジャボテンダーさんの優雅なる一日は、こうして終わっていく。
また、明日もティエリアの挨拶からはじまるのだ。