ヒ・カ・リ







ヒ・カ・リ

爆音。閃光。衝撃。
壊れていく。
私が壊れていく。

光。
それに向かって、ただ手を伸ばす。

「愛しているから」
ライルの声がするほうに、私は手を伸ばす。

私は。
光に包まれる。
そして、最期にライルと話ができた。

不思議だね。

光の中で、私は溶けていく。
サラサラと崩れていく。
ライルは、必死になって私に手を伸ばす。

もう、いいから。
十分だから。

十分、あなたに愛されたから。
解りあえてた。
愛し合えてた。

私は、こんなにも幸せ。

ヒカリ
それに向かって、私は手を伸ばす

私を操っていたイノベイターの頂点に立つ者の舌打ちが聞こえた

ばかだね、あなたは
私を操っても、何も得ることができないのに
人間の愛も知らないあなた
ただ、イノベイターであることだけしか頭にないあなた

愚かだね
なんてなんて愚か
あなたに、でも利用されても
私は許せる
だって、ライルに会えたから
この世界で、ライルにめぐり合えたから
それはイノベイターでも、私にしかできないこと

ライル
泣かないで
エメラルドの瞳は、笑顔がとても似合う
私は空気に溶けて崩れていく
魂まで崩れていく
でも、愛は消えない
永遠に愛はあなたの傍に

光に向かって、私は手を伸ばす
届かない
それでも手を伸ば
私は、光を掴んだ

それは、あなたの笑顔だった

ああ

私、こんなにも愛されていた

魂の全てを満たしていく愛の感情

私は包まれる

光に

光に包まれて

消えていく

「アニュー!!」

ライル

どうか、泣かないで

あなたの傍にいられたこの数ヶ月とても幸せだったわ

誰よりも幸せだったわ

「ライル・・・・」

私を形作っていたものが、名前を呼ぶ

「ライル、ライル、ライル・・・・愛しているわ」



零れる涙

涙に満たされて、私は光に包まれる


爆音。閃光。衝撃。
壊れていく。
私が壊れていく。

ねぇ。忘れないで。忘れな草のように、忘れないで、私がいたことを。あなたと愛し合った日々を。それだけで、私は十分だから。あなたに愛されただけで、私は十分だから。

あなたに愛されて良かった

ライル

ライル

ライル

光に手を伸ばす
私は涙を零しながら、笑顔でライルに別れを告げる

さようなら、私の愛しいライル
愛していたわ
誰よりも誰よりも

笑顔で私は消えていく

ヒカリと一緒に・・・・