カナリアU「カナリア目覚める」







二人で、また露天商のおばさんの店にいった。この前カナリアのために買ったシルバーの指輪に、ティエリアがカナリアと彫りたいと言い出したからだ。
それなら、とロックオンも思った。同じように、カナリアと名前の彫ったシルバーの指輪をロックオンも買おうと思った。

「ラーラララ〜〜」
人だかりができている。
「うまいねぇ、いつ聞いても」
その歌声は、カナリアの唄に似ていた。
人だかりを気にしながらも、露天商のおばさんに会う。

「おや・・・・なんだか、この前と雰囲気が違うね。綺麗だけど、とても凛々しいね」
露天商のおばさんは、綺麗にカナリアと名前を彫ってくれた。ロックオン用の指輪も買った。
「聞いてくれないかい。この半年間、ずっと昏睡状態だった孫が、目覚めてくれたんだよ!もう、嬉しくて嬉しくて!本当に奇跡だよ!ああ、神様・・・・・・そうそう、孫はね、お嬢ちゃんと同じ名前なんだよ?」

「僕と?」

歌声が聞こえる。
籠の中のカナリアのような、綺麗な唄が。

「ら〜ららら〜〜私は籠の中のカナリア〜」
「ほら、おいで、カナリア」

おばさんは、見た目よりもけっこう年をとっているようだった。
「ちょっと、おばあちゃん、恥ずかしい!」
「何いってんの。人前で堂々と歌っときながら、お客さんに会うのが恥ずかしいだなんて、変な子ね」
「だって、その人・・・・私が作ったカナリアの羽にぴったりの人だって。カナリア・・・・あの羽のペンダントをした人に、夢の中で何度もであったの。カナリアを助けてくれたの。忘れな草の花畑が綺麗で・・・・」
露天商がつれてきた孫娘は、まだ10歳になるかならないかといった少女だった。
金色の髪に、同じく金の瞳。

「カナリア?」
「そうそう、カナリアって名前なのよ、この子。綺麗な金色だからそう名づけたんだけどね、カナリアみたいな綺麗な声で歌うんだよ」
店のおばさんは、嬉しそうに、カナリアという名の少女をロックオンとティエリアに紹介する。

「あ、私が作ったペンダントだ。・・・・・・・・・夢の中の天使さんだ」
「え?」
少女が、ティエリアを指差す。
無邪気に、無垢に笑う。
なんて、綺麗な笑顔。
人はこんなにも綺麗な表情ができるのかというような、笑顔。
髪には、硝子でできた忘れな草の髪飾り。

「カナリア・・・・?」
「そう、私はカナリア」
「カナリア?」
ロックオンとティエリアは呆然となる。
「ごめんねぇ。この子、昔からこんな調子で。IQは悪くないんだけど、ちょっと不思議な子でね。おつむの螺旋が緩んでいるようで、そうでもないし。なんていうか、本当に・・・自分でいうのもなんだけど、天使ような子だよ」

ふと、カナリアという少女が、慈愛に満ちた表情をする。とても、10歳の少女がする表情ではない。
「カナリアは、二人に愛されてとても幸せでした」
ペコリと、ティエリアとロックオンにお辞儀をする。

「カナリア・・・なのか?」
ロックオンが声をかけると、カナリアという名の少女は、不思議そうに首を傾げた。
「カナリア、何か言ったかな?」
「ほれもう、カナリア、ボケでもはじまったのかい?」
「違うよ、おばあちゃん。カナリアが言ってた夢の中の天使さん、この人に似てる」
少女のあどけない無垢さと幼さ、それに表情など、どれも消えていなくなったカナリアにそっくりだ。
ティエリアとロックオンは、胸に詰まっていたものが、雪のように氷のように解けていくのをかんじていた。

溶けていく。

神様の悪戯でもいい。

きっと、このカナリアという少女は、消えてしまったティエリアの中のカナリア。
そう思いたかった。

カナリアという名の少女は歌いだす。
カナリアのような、綺麗な声で。
そこには、もう鎖も籠もない。綺麗な金色の翼は復活した。
綺麗な声で歌う。

カナリアの羽は、綺麗な声で相手の名前を呼ぶよ。
露天商のおばさんの言葉。

カナリアという名の少女が歌いだす。

「ららら〜私はカナリア〜籠の中から飛び立つカナリア〜青空を自由に、どこまでも羽ばたいて〜。ラララ〜ルル〜〜」

大空を見上げる。

一羽の金色の小鳥が、木陰から飛び立っていった。
 


                     カナリアU The End

                                        Presented by Masaya Touha
                                                               ねぇ、カナリアはいつでも歌っているよ
                        君の心の中で、綺麗な声で

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えーと。
えーっと、、
かいていて、なんかはじめとかなり違うくなった。
まぁいいか・・・・。
カナリアTできえたカナリアと、ロックオンが触れ合う小説がかきたかったんですね。多分、そうだ・・・と思いたい。
最後は、ありきたり。