結局、出血はしなかった。 体の機能が、体を繋げる、という行為に慣れてしまったのだ。 ソドムのような愛し方をしないのは、ニールがカトリック教徒であるというのではなく、ティエリアに備わった器官は快感を得ることができると、昔肌を重ねあったときに知ったからだ。 ソドムのような愛し方は、慣れるまで途方もない時間がかかるし、出血が酷いし、男性でないティエリアには負担が大きすぎる。 ティエリアは、最後は気を失ってしまった。 それでも、長いオーガズムの果てだった。どこまでも、ニールはティエリアを労わる。自分だけが快感を得るような愛しかたはしない。 ティエリアは、心地よい疲労感と快感の果ての浅い眠りについた。 その体を抱き上げ、事後処理も怠らない。 体を清めて、はりかえたシーツのベッドの上で、ちゃんとパジャマを着せて、抱き合って眠った。 もんもんもん。 リジェネは一人、眠れない夜をその日過ごした。 ティエリアを愛している。抱きたいとさえ思う。でも、ティエリアはニールにしか体を許さない。 もんもんもん。 ライルの家に泊まることとなったリジェネ。 恋人が睦みあう邪魔をしなくなっただけ、成長した。 だって、ティエリアを愛しているから。ティエリアが幸せになってくれれば、それでいいのだ。 「キー!眠れん!今頃ティエリアは・・・・ああああ、考えただけで」 ちょっとだけ、脳量子波で探ってみた。 オーガズムが、リジェネにも流れ込んでくる。 あ。 やばい。 やばい、やばい。 リジェネだって、健全な男の子だ。 好きな相手の淫らな姿を想像してしまうと。 リジェネは、温いシャワーを浴びて、入院していた時に処方された、睡眠導入剤を多めに噛み砕き、無理やり眠りについた。 「おはよう、ティエリア」 「おはよう、ニール」 「昨日は、かわいかったよ」 ティエリアは、隣のベッドにあったジャボテンダーをぶんと投げ飛ばして、ニールをこれでもかというほど殴った。 「痛い、痛い」 本気で殴ったので、ニールも痛かった。 「ティエリア、おはよう!」 ばん!と扉をあけて入ってきたリジェネに、ぎゅーって抱きしめられるティエリア。 でも、体のあちこちに、ニールの所有の証である紅い鬱血が残っている。 リジェネは、ゴキブリを退治する殺虫剤をもってくると、ニールにふきつけた。 「この獣が!ティエリアを思い切り貪り食ったな!獣が!退治してくれる!」 「まじで簡便」 ぎゃーぎゃー。 逃げ回るニールと、蝿たたきをもちだしてきたリジェネ。 ティエリアは、長くなった髪を撫でながら、ニールの温もりを追うように、またベッドに横になって、今度こそ深い眠りにつくのであった。 睦みあった二人の愛の全てをを知っているのは、ジャボテンダーさん2匹だけの秘密。 「んー・・・・ニール、愛して・・・・ます」 寝言を言うティエリアに、ニールもリジェネも顔をあわせる。 「朝食作ろうか・・・・」 「そうだな・・・・」 今日も、平和な一日が始まる。 ちなみに、今日はティエリアとリジェネは雑誌の撮影が控えていた。 ニールがつけた痕のせいで、撮影が伸びることになったのは、別のお話。 |