21話補完小説「パパ、ママ」







ネーナは、ガンダムスローネで、王留美の乗った小型宇宙船を爆破した。
「きゃはははは!今度こそ、さようなら、お嬢様。ほんと、大嫌いだった。虫唾が走るくらいに大嫌いだった。本当なら、指の一本一本から切り落として殺してあげたいんだけどさぁ。こんな宇宙空間じゃ無理だしい?監視者もいるしねぇ。キャハハハハ!!」
黒いハロが、合成音声をだす。
「裁きを受ける時」

それは、ラグランジェ5のコロニー内部に潜んでいた、リジェネ・レジェッタがハロを操作して、そう言葉を出させたのだ。
「はぁ?裁き?」
リジェネから通信が入る。
「よくやったね、ネーナ。さようなら」
「ちょっと、どういうことよ!人を散々こきつかって、その言い草はなによ!ちょっと!!」
何度相手に通信を入れようとしても入らない。

リジェネ・レジェッタは、刹那と遭遇することもなく、綺麗な顔を残酷に歪め、爆発していく王留美の小型宇宙船の閃光を見ていた。
「綺麗だよ。命が散っていくって分かると、凄く綺麗だ・・・ふふふ。クスクス」


「あのガンダム!!」
ルイスは、5年前、忘れもしない人生を変えた、いや変えられた出来事を思い出す。
「パパ、ママ、今からかたき打つからね。みててね」
唇をニヤリと吊り上げる。
そのまま、新型の圧倒的な火力でスローネの足をもぐ。
「ちょっと、なんなのよ!」

動揺するネーナは、敵を見てすぐに攻撃にかかる。
通信が入った。リジェネ・レジェッタからだった。
「イノベイターを利用していたつもりかい?利用されていたのは君だったんだよ?もう、君に用はない。用済みだよ。王留美と一緒に死んじゃって。めんどくさいから。君みたいな嗜虐趣味の強い子は好きじゃないんだよね。やっぱり、ティエリアが一番大好き。穢れを知らなくて、汚したくなる」
「何いってんのよ、あんた、こんな時に!」

「死ね死ね死ね!」
今のルイスは、まるでもう一人のネーナ。
足掻いて、ビームミサイルを打つガンダムスローネを、粒子ビームでうつ。
完全に、粉々になって爆発していくガンダムスローネ。
「紅い、ガンダム。やっつけた。やっと。こんなに、時間かかったよ・・・」
ルイスは泣いていた。

「ねぇ。パパ、ママ。見てる?見えてる?やっつけたから。パパ、ママ、褒めて?ねぇ、声を聞かせて。パパ、ママ!!!」
ルイスは、綺麗な顔を歪める。
「どうして?どうして、何もいってくれないの、パパ、ママ」
何処から知ったのだろう。
リジェネ・レジェッタがルイスの機体に通信を送った。

「それは、君のパパとママがすでに死んでいるからさ。だから、返事なんてない。人間の君がいくらあがいたって、失ったパパとママは戻ってこないよ。おっと、イノベイターになりかけてるんだったけ。リボンズの人形さん。良かったね、敵が討てて。でも、誰も戻ってこないし、誰も褒めてくれないよ。逆に、パパとママは泣いているだろうねぇ、君のそんな姿を見て。愛しい一人娘が、残忍な殺戮者になったって。ネーナと一緒だ。ああ、君のパパとママを殺した、さっき君が殺した子、ネーナっていうだ。今の君にそっくりだよ」

「私が・・・・そっくり・・・・残忍な・・・・殺戮者・・・・」

リジェネは、それはそれは嬉しそうにルイスを褒めた。

「僕が褒めてあげるよ。おめでとう、ルイス。立派な殺人者だよ」

ルイス。
パパとママが、泣いていた。
今のルイスの姿を見て、泣いていた。
血みどろになって、恐怖に震えて、娘に銃を向けていた。

リジェネは、リボンズに悟られないように、器用にルイスに脳量子波を送り、そのビジョンをおくった。

「近寄らないでルイス!この人殺し!あなたなんて私の娘じゃないわ!」
「ルイス!この残酷な悪魔め!」

「パパ・・・・ママ・・・・・・いやああああああああああああああああ!!」

「あははははは、は、あははははは!おかしいの、何これ。たったこれだけで壊れそうになってんの?だから人間って嫌い。あーあ、ティエリアに会いたいなぁ」
リジェネは悪魔のように微笑むのであった。

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だってさ。ネーナ殺したからって、パパママ・・・。答えてくれない。それだけで「いやああああ」って悲鳴もいいんだけど。
こんな裏設定があったら、そりゃ「いやあああ」って叫びますよ。
黒リジェネの活躍でこんな裏設定があったらいいな。どうでしょうw