世界が終わってもV「解毒剤〜〜!!」







「やだ、なんだよこれ!」
声のトーンが高い。完全な子供だ。
「ニールとティエリアが巨人になってる!」
反応まで、昔のティエリアそっくりなリジェネ。
「やっぱ、こっちの失敗かぁ。そうなるんじゃないかなぁって思ってた。だって、入れたのドクター・モレノの育毛剤じゃなくって発毛剤だったもの。すると、理論的に若返りの薬ができるんだよね。ちなみに、僕が作ろうとしていたのは老化の薬。体を20代前半にする薬。ニールと同じ24歳の姿になりたいんだ」
熱弁するティエリア。

「ちょっと、ティエリア、責任とってよ」
「うん。でも、もうとってるよ?リジェネ、僕とニールの養子じゃないか。お子様になった責任として、僕らの子供にする。もう籍とっくの昔に入れてるから、責任はとった後なんだよね」
「そうなのか。じゃあ一安心・・・・・なわけないだろおおお!」
リジェネは、ぶかぶかになった黒のフォックスリボンストールを床に投げ捨てる。
完全にすねていた。
「ティエリア。計ったね」
「ばれた?ニールがさ、たまにはきついお仕置きしてやれっていうから、どうせならと思って、若返りの薬飲ませたかんじにしてみた」
「ニィィイイイイルウウウウゥゥゥ!ティエリアを使うなんてこの卑怯者!○○○の▽■×。×××の○○××!!」
リジェネの悪口の下品さときたら。ほんとに、お洒落にも人一倍気を使い、毎日朝晩とシャワーを浴びる潔癖症の部分のあるリジェネの言葉とも思えなかった。
「×××は言い過ぎだろ」
「しるもんか!この落としまえ、どうしてくれるのさ!」
ぶかぶかのサマーセーターだけで、ニールの前にきて、ふん!と威張り散らすリジェネ。
その身長は、背の高いニールの半分もない。
「・・・・・・・・・・かわいい、リジェネv」
「かわいいよね」
ニールにまで抱きしめられて、リジェネはギブアップしそうだった。

「とにかく。今すぐ解毒剤を!」
「大丈夫、そこらはぬかりないから。冷蔵庫に・・・・」
ティエリアは冷蔵庫をあける。
「あれ?あれ?ない!」
「なんだって!」
「オロナミンCの瓶に入れておいたのに、ない!」
なぜにオロナミンCの瓶にいれるか。
「ああ、あのオロナミンCな。あけたらむわって緑の煙が漂ってきたから、流して捨てた」

ピキン。
リジェネは、石像になった。

「どうしよう、あれしか解毒剤用意してなかったのに」
「あー、あれ解毒剤だったのか。そうかー。ごめんな、リジェネ」
なでなでなで。ニールは悪びれもせずに、しつようにリジェネの頭を撫でる。

「オーマイガッ。僕の人生が終わった・・・・・」
「大丈夫だから。俺たちがいるじゃないか。俺たちの子供として・・・・ぶべし!」
「うるさいよ、ニール!」
リジェネは、ニールの顔を子供とは思えない力でぶった。
「分かってるよ、リジェネ。ちゃんと、解毒剤はもう一回作るから。材料はあるから、大丈夫」
「良かった。ティエリアの腕を信じてるから。まぁ、無理だったら自分でなんとかしてたけどね。あのメモみたけど、解毒剤の作り方、すぐに分かったし」
「流石リジェネ」
IQ180の世界は、ニールには分からない。

「でも、さ。せっかくだから、三人で散歩にいこうよ!一度、子供リジェネをつれて買い物とかいくのが夢だったんだ」
「ティエリア・・・・・誰がそんな酔狂に付き合ってられるかっていいたいところだけど、仕方ないね」
何処までも、ティエリア愛のリジェネ。
「じゃあ、ニールがリジェネ抱いてね」
「え」
「へ?」




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