「大丈夫。大丈夫だから。そう、信じるんだ。自分を」 ティエリアは、鏡を見ながら、自分に言い聞かせる。 セラヴィに乗ってグランジェ5の宙域に出る。 コックピットのハッチをあける。 そのまま、忘れな草を摘んでできた小さな花束をゆっくりと手から離す。 音もなく、メッセージカードと一緒に、それは宇宙の闇へと吸い込まれていく。 「願うならば。どうか、安らかに。そして、いつかあなたの元へ」 メッセージカードには、綺麗な執筆で「永遠の愛をあなたに」と書かれていた。 「生れてきてくれてありがとう。私と出会ってくれてありがとう。私を人間にしてくれてありがとう。たくさんありがとうといいたいことがあります。でも、それはいつかあなたの元へいったときに」 女神のような微笑を零して、コックピットを閉める。 ミス・スメラギに通信をいれる。 「ティエリア・アーデ、現在異常なし」 宇宙を、エメラルド色の光が流れ、忘れな草の花束を包み、闇に落ちていった。 |