ティエリアに、忘れな草を摘んでできた小さな花束とメッセージカードをもらった。 はじめは、つき返してやろうかと思った。 俺の心も知らないで。 いや。誰よりも、一番知っているか、ティエリアは。置いていかれるという途方もない孤独に。 ケルヴィムのコックピットをあけて、花束とメッセージカードを別々に手から落とす。 音もなく、闇に落ちていく。 「俺な、誕生日だったんだ。アニューに、祝ってほしかった。一緒に」 メッセージカードは白紙。 書くことがない。伝えたい言葉がいっぱいありすぎて、言葉になんてできない。 「いつか、傍にいくから」 通信が入った。戻れとの内容だった。 アメジスト色の光が、花束とメッセージカードを受け取る。 それは、アニューの形をつくって、胸に花束とメッセージカードを大切に抱きしめた。 そして、消えた。 花束もメッセージカードも、アニューを形作っていたアメジストの光も。 でも、アニューは綺麗に微笑んでいた。 そう、最後に見せた、あの綺麗な微笑を。 |