「ガデッサで撃ち落してやる!」 ケリング・ケアは照準をあわせ、ガンダムに向けてガデッサを放った。 絶え間ない閃光の雨。 降るミサイル、銃弾、追撃されていく仲間の機体。 ダブルオーの機体が、ガデッサの光に消えた。 「やったか!?」 煌く蒼い機体。 まるで、母なる地球のような蒼と、そして白のコントラスト。 GN粒子が、天使の羽にように宇宙に舞い落ちる。 虚空を切る、ダブルオーライザーの唸りが、咲き乱れる。 「7機、8機、9機・・・・10機!」 一人遊軍を任された刹那は、アロウズの紅い機体を切り裂いていく。 爆破していく機体にも目もくれず、操縦桿を握り締めて、ヒリング・ケアの乗る新型に向かって、機体を転回させる。 GN粒子の光が満ちる。 「ガデッサを避けた!なんてスピードだ!くそ、負けるものかああああああ!」 ヒリング・ケアは、叫んだ。 自分は、愚かしい人間などではない。新人類なのだ。イノベーターなのだ。 イノベーターであるはずの自分が負けるはずがない。 たかが人間ごときに! ヒリング・ケアは、高い声で叫ぶ。 「死ねえええ!」 ガデッサを片手に、刃を取り出してダブルオーの機体に迫る。 ギィィン! 刃と刃がぶつかり合い、火花が散る。 「イノベーター。お前を、駆逐する」 ダブルオーの機体の刃が、ヒリングケアの機体の刃を切り裂いた。 ヒリング・ケアは、すぐに機体を転回させ、ダブルオーの刃の届かぬ範囲へと距離を保つ。 ガデッサのチャージ完了が終わり、ヒリング・ケアは宇宙を翔けた。 追撃しようとするダブルオーの機体を、アロウズの紅い機体が挟み撃ちする。 「邪魔だ!!」 刹那は叫んだ。 オーライザーの光が満ちる。 唸りをあげて、アロウズの紅い機体はGN粒子にまみれ、爆破する。 刹那の機体が、紅い機体を真っ二つに裂いた。 「ガデッサ、標準完了、発射!」 ガデッサの光を、ダブルオーの機体が裂いた。 「ば、ばかな!」 迫り来るダブルオーに向かって、ヒリング・ケアは装填した新たな刃で切りかかった。 ダブルオーが視界から消える。 ジジジジ・・・・・。 機体が悲鳴をあげた。 いきなり天からきた紅い破壊の光によって、虚をつかれたヒリング・ケアの機体は右腕を、ダブルオーの機体によって斬られ、ガデッサも破壊された。 「メメント・モリが!!」 爆破音。 衛星兵器、メメント・モリが破壊された。 ヒリング・ケアの機体に通信が入り、全軍撤退の命令が下された。 切り裂かれた右腕を庇う形で、機体が撤退命令空域へと離脱する。 「ガンダムめ!人間が!イノベーターであるこの私が負けるなんて!」 ヒリング・ケアは、操縦桿を両手で叩いた。 憎い。 あの、蒼と白のガンダムが憎い。 イノベーターである自分の能力を上回るというのか。 破壊したい。破壊、破壊、破壊。 憎い、憎い、憎い。 通信が入る。 「無事ですか」 「無事だ!うるさい!」 仲間の安否を気遣う通信を一方的に切った。 メメント・モリが破壊されることなどありえないはずだった。 CBの戦術予報士は、アロウズの戦術予報士と比べて、なんと危険で大胆な作戦をとるのだろうか。 ヒリング・ケアは顔をあげた。 笑う。 狂気の、微笑み。 「絶対に、あのガンダムを撃ち落してやる」 |