22話補完小説「刹那へ」







マリナは、宇宙服を着ながら、無重力空間ではしゃぐ子供たちを見守る。

「刹那・・・・・」

いよいよ、戦いも、大詰めなのだろう。

超小型パソコンに、着信があった。

「刹那?」

(白い、花をもらった。マリナだと、見て思った。俺は戦う。世界を取り戻すために。人を導くのは、人だ。そして俺は変わっていく。マリナへ。どうか、唄が聞きたい)

「刹那・・・・」

マリナは、子供たちを抱きしめながら、ラジオでも流れている唄を歌いだす。

なぜか、涙が零れた。

「どうか。生き抜いて、刹那。明日を、あなたたちの手でつかみとって。取り戻して、世界を」

「マリナ様、なんで泣いてるの?」

「マリナ様、マリナ様」

マリナは歌う。刹那に届くようにと。

いつか、白い花を、アザディスタンの故郷に、花畑ができるほどに埋めよう。

刹那と、一緒に。

「愛しているわ。皆、愛している」

マリナの愛は、もはや一人の男性に向けるものをこえて、世界に向ける慈愛へと変わっていた。

それでも、愛は止まらない。

世界を愛する。

人を愛する。

愛は、全てを変える。