「刹那、本当に一人でよくがんばってくれた」 ティエリアは、OOの機体のコックピットから降りてきた刹那を待っていた。 そして、刹那がヘルメットを外す。 ティエリアも、ヘルメットは外していた。 ノーマルスーツ姿であったが、着替えている時間が惜しい。 「君は強い。君の存在がなければ、今回の衛星兵器破壊は成し遂げられなかった。一体、何機を破壊した?」 「22機だ。途中から数えてなかったので、ずれがあるかもしれないが、多分それくらいだ」 「素晴らしい」 褒め称えるティエリアが歩き出す。刹那も、並んで歩きだした。 「ダブルオーライザーの力だ。俺だけの力じゃない」 「刹那は、本当に強くなったな。僕では手の届かない場所にいるようだ」 「違う」 刹那はすぐに首を振った。 「ティエリアも、アレルヤも、ロックオンも、皆強くなった。俺だけじゃない」 きっぱりと、強く断言する。 「君は、仲間というものを信じる力を手に入れた。本当に、成長した」 「ガデッサという名の兵器は破壊した。だが、肝心のイノーベーターには逃げられてしまった。駆逐できなかった」 その言葉に、ティエリアの足が止まる。 「あの、白い新しい機体には、やはりイノベーターが乗っていたのか」 「イノベーターは駆逐する」 ティエリアは、もう迷わない。 「僕は、刹那の仲間だ」 刹那の手が、ティエリアの頬に伸びる。 「それでいい。あんたは、人間だ。俺たちの仲間だ。ガンダムマイスターで、セラヴィのパイロットだ」 ティエリアは、刹那の手をとって、頷いた。 「はぁ、本当に緊張した。トランザム限界時間突破したけど、本当に成功してよかったよ。ロックオン、最後は君のお陰だね」 「射撃なら任せろ・・・といいたいところだが、正直身震いがした。だが、俺も信じていた。自分の力を。衛星兵器の弱点を狙い撃つのは、俺の仕事だったからな」 ライルが、アレルヤと並んで会話していた。 共にコックピットからおり、ヘルメットを外してはいるが、まだノーマルスーツのままだ。 「それにしても、カタロンの宇宙軍隊はほとんど壊滅しちゃって、痛々しかったよ」 「それでも、衛星兵器破壊ミッションは成功したんだ。散っていってしまった命も、きっと本望だ」 ライルは、心の中で、散ってしまった同志たちの冥福を祈った。 「それにしても、刹那ってば本当に凄かったね。一体いくつアロウズの機体を破壊したんだろう」 「そんなの見てる余裕なんかなかったぜ」 二人は、並んで歩きだした。 そして、ティエリアと刹那のコンビに出会う。 アレルヤが、顔を輝かせた。 「みんな無事で、本当によかったよ!」 「ああ、そうだな」 刹那も、衛星兵器破壊ミッションが成功して、とても満足した様子だった。 「・・・・・・・・」 「どうしたの、ティエリア?」 アレルヤが、無言のティエリアを心配する。 「・・・・・・僕は、本当に人間で良かった。君たちの仲間でよかった。こんな素晴らしいことが、他に存在するだろか?信じあう力。それは解かれることのない見えない絆だ」 「ティエリアもよくがんばったね」 「アレルヤ、君も限界時間を突破してまでトランザムして、ご苦労様」 互いを褒め称え、いたわりあう。 「刹那、凄かったね。いったい、何機破壊したのさ」 「正確な数は分からない。多分、22機。もっと多いかもしれない」 「ヒュー。流石はダブルオーライザー。性能が半端じゃないな。刹那の腕も半端じゃない」 「褒めすぎだ」 「・・・・・・・・ロックオン・ストラトス」 「どうした、教官殿?」 ティエリアが、ライルの手をとって、無理やり握手を交わした。 「今回のミッションの成功は、君の手柄でもある。正確な射撃、この目でしっかりと見届けさせてもらった」 「ティエリア」 「ロックオン・ストラトス。衛星兵器破壊ミッション、完全にミッションクリアだ」 ライルの、エメラルドの目が優しくなった。 そして、ティエリアの首に手をまわす。 「何をする!」 「そういうお前さんこそ、立派だったぜ。協力攻撃は、信頼がないと成り立たない。俺を信頼してくれてありがとさん」 「当たり前のことだ。もう、君は・・・あなたは、ケルヴィムのパイロットであり、完全なガンダムマイスターだ」 ロックオンの肩に、アレルヤの腕がまわる。そして、アレルヤの肩に刹那の腕がまわり、刹那は残っていた腕をティエリアの肩にまわした。 円陣の形になる。 皆が、顔を見合わせた。 「「「「ミッション、クリア!」」」」 腕を解くと、ライルが手をさしだした。 それに、頷いてアレルヤが手を重ねる。 刹那が、無表情のままその上にさらに手を重ねる。 最後に、ティエリアが、3人の顔をそれぞれ見た後、一番上に手を重ねた。 「信じあう力。それは、解かれることのない絆だ。これからも、共に」 ティエリアが声を出す。 「俺は、皆を信じている。ガンダムマイスターは、四人揃って一人だ」 刹那が、語る。 「僕たちはもう、立派な仲間だ。誰がなんといおうと、譲ることのできない仲間。これからも、力をあわせてがんばろうね」 アレルヤが、重ねられた手を見つめた。 「俺は、最初こうなるつもりはなかったんだけどな。もう、手遅れだ。みんな、お前さんらのせいだぜ?責任とってくれよな」 「最後まで、生き抜いて戦おう」 刹那の言葉に、重ねられた手が、強く合わされる。 信じる力。 それは、解かれることのない絆。 |