13話補完「解かれることのない絆」









「刹那、本当に一人でよくがんばってくれた」
ティエリアは、OOの機体のコックピットから降りてきた刹那を待っていた。
そして、刹那がヘルメットを外す。
ティエリアも、ヘルメットは外していた。
ノーマルスーツ姿であったが、着替えている時間が惜しい。
「君は強い。君の存在がなければ、今回の衛星兵器破壊は成し遂げられなかった。一体、何機を破壊した?」
「22機だ。途中から数えてなかったので、ずれがあるかもしれないが、多分それくらいだ」
「素晴らしい」
褒め称えるティエリアが歩き出す。刹那も、並んで歩きだした。
「ダブルオーライザーの力だ。俺だけの力じゃない」
「刹那は、本当に強くなったな。僕では手の届かない場所にいるようだ」
「違う」
刹那はすぐに首を振った。
「ティエリアも、アレルヤも、ロックオンも、皆強くなった。俺だけじゃない」
きっぱりと、強く断言する。
「君は、仲間というものを信じる力を手に入れた。本当に、成長した」
「ガデッサという名の兵器は破壊した。だが、肝心のイノーベーターには逃げられてしまった。駆逐できなかった」
その言葉に、ティエリアの足が止まる。
「あの、白い新しい機体には、やはりイノベーターが乗っていたのか」
「イノベーターは駆逐する」
ティエリアは、もう迷わない。
「僕は、刹那の仲間だ」
刹那の手が、ティエリアの頬に伸びる。
「それでいい。あんたは、人間だ。俺たちの仲間だ。ガンダムマイスターで、セラヴィのパイロットだ」
ティエリアは、刹那の手をとって、頷いた。

「はぁ、本当に緊張した。トランザム限界時間突破したけど、本当に成功してよかったよ。ロックオン、最後は君のお陰だね」
「射撃なら任せろ・・・といいたいところだが、正直身震いがした。だが、俺も信じていた。自分の力を。衛星兵器の弱点を狙い撃つのは、俺の仕事だったからな」
ライルが、アレルヤと並んで会話していた。
共にコックピットからおり、ヘルメットを外してはいるが、まだノーマルスーツのままだ。
「それにしても、カタロンの宇宙軍隊はほとんど壊滅しちゃって、痛々しかったよ」
「それでも、衛星兵器破壊ミッションは成功したんだ。散っていってしまった命も、きっと本望だ」
ライルは、心の中で、散ってしまった同志たちの冥福を祈った。
「それにしても、刹那ってば本当に凄かったね。一体いくつアロウズの機体を破壊したんだろう」
「そんなの見てる余裕なんかなかったぜ」
二人は、並んで歩きだした。
そして、ティエリアと刹那のコンビに出会う。

アレルヤが、顔を輝かせた。
「みんな無事で、本当によかったよ!」
「ああ、そうだな」
刹那も、衛星兵器破壊ミッションが成功して、とても満足した様子だった。
「・・・・・・・・」
「どうしたの、ティエリア?」
アレルヤが、無言のティエリアを心配する。

「・・・・・・僕は、本当に人間で良かった。君たちの仲間でよかった。こんな素晴らしいことが、他に存在するだろか?信じあう力。それは解かれることのない見えない絆だ」

「ティエリアもよくがんばったね」
「アレルヤ、君も限界時間を突破してまでトランザムして、ご苦労様」
互いを褒め称え、いたわりあう。
「刹那、凄かったね。いったい、何機破壊したのさ」
「正確な数は分からない。多分、22機。もっと多いかもしれない」
「ヒュー。流石はダブルオーライザー。性能が半端じゃないな。刹那の腕も半端じゃない」
「褒めすぎだ」
「・・・・・・・・ロックオン・ストラトス」
「どうした、教官殿?」

ティエリアが、ライルの手をとって、無理やり握手を交わした。
「今回のミッションの成功は、君の手柄でもある。正確な射撃、この目でしっかりと見届けさせてもらった」
「ティエリア」
「ロックオン・ストラトス。衛星兵器破壊ミッション、完全にミッションクリアだ」
ライルの、エメラルドの目が優しくなった。
そして、ティエリアの首に手をまわす。
「何をする!」
「そういうお前さんこそ、立派だったぜ。協力攻撃は、信頼がないと成り立たない。俺を信頼してくれてありがとさん」
「当たり前のことだ。もう、君は・・・あなたは、ケルヴィムのパイロットであり、完全なガンダムマイスターだ」
ロックオンの肩に、アレルヤの腕がまわる。そして、アレルヤの肩に刹那の腕がまわり、刹那は残っていた腕をティエリアの肩にまわした。
円陣の形になる。
皆が、顔を見合わせた。

「「「「ミッション、クリア!」」」」

腕を解くと、ライルが手をさしだした。
それに、頷いてアレルヤが手を重ねる。
刹那が、無表情のままその上にさらに手を重ねる。
最後に、ティエリアが、3人の顔をそれぞれ見た後、一番上に手を重ねた。

「信じあう力。それは、解かれることのない絆だ。これからも、共に」
ティエリアが声を出す。
「俺は、皆を信じている。ガンダムマイスターは、四人揃って一人だ」
刹那が、語る。
「僕たちはもう、立派な仲間だ。誰がなんといおうと、譲ることのできない仲間。これからも、力をあわせてがんばろうね」
アレルヤが、重ねられた手を見つめた。
「俺は、最初こうなるつもりはなかったんだけどな。もう、手遅れだ。みんな、お前さんらのせいだぜ?責任とってくれよな」

「最後まで、生き抜いて戦おう」

刹那の言葉に、重ねられた手が、強く合わされる。

信じる力。
それは、解かれることのない絆。