血と聖水「我、血の聖水とならん」







「血と聖水の名において・・・・いでよ、シルフ!切り裂け!」
刹那が、風の精霊シルフを召還し、真空の刃でロックオンを切り裂く。
幾つもの傷が、ロックオンにできるが、すぐに再生した。
「殺しあうがいい」
ロックオンの中に入ったロードヴァンパイアは、ロックオンの血で戦闘人形を呼び出す。
その強さは、ロードヴァンパイアの血でつくったそれの比ではなかった。
「ぐ・・・・」
刹那が、戦闘人形の一匹と切り結ぶ。
「強い」
ビームサーベルで、頭と胴を切り離しても、血でできているためにすぐに元に戻る。
「きりがないぞ、ティエリア」
「分かっている」
ティエリアも、ビームサーベルを手に、戦闘人形を切り倒していくが、すぐに血になり、また戦闘人形に戻っていく。
「刹那、氷属性の精霊の使い魔はいないのか?」
「自慢だが、炎と風属性がメインで、氷はない」
「そうか。それはそれは・・・ってほんとに自慢になってないな」

「血と聖水の名において・・・フェニックス!血を蒸発させろ!」
凄まじい火力が場を満たす。
炎の地獄の猛火が、ロックオンを包んだ。
「手加減くらいしろ、刹那!彼は僕の使い魔でもあり、パートナーでもある!」
「いや、単純に情夫だろ?」
「じょ、じょ・・・・」
ティエリアは顔を真っ赤にして、刹那の頭をはたいた。
「フェニックス、そのまま燃やし尽くせ」
「血と聖水の名において、フェンリル!凍てつくせ!」
フェニックスの炎を止めるように、猫くらいの大きさの白い狼が、氷のブレスを吐く。
それは油をかけた火種に一滴の水を加えるようなものだった。
「にゃあ、にゃあああああ。無理だ、主よ。主の力が足りないにゃ」
「そこをなんとか、フェンリル」
「主が消せばいいにゃ」

「なるほど、それがあったな」
刹那が頷いて、ティエリアを燃え盛るロックオンに向かって投げ捨てた。
投げ捨てた。
普通、仲間を投げ捨てたりしないよね。でもするのが、刹那。

「うわああああ?」
投げられて、とっさに受身もできなかったティエリアは、そのまま燃え盛るロックオンに横抱きにされていた。
「熱いから!とっても熱いから!!」
ティエリアが我慢できずに叫ぶと、火が消えた。
「にゃあ。ほら、ロックオンが主を守るために火を消したにゃ」
「ロックオン?」
とてつもない温度の炎で焼かれていたというのに、髪一つ焦げていない。
真紅の血の瞳は、エメラルドの優しい色に戻っていた。
「いい加減、俺の体から出てけ!」
追い出され、ロードヴァンパイアは血の海となって、姿を形づくる。
「どうする?」
「ビームサーベルで、心臓を突き刺そう」
「分かった」
刹那が、肩で息をしているロードヴァンパイアの背後から、ビームサーベルで心臓を突き刺す。
「がああああああ」
「ロックオン」
「合点。血と聖水の名において、我血の聖水とならん」
ロックオンの姿が溶けて、真紅の血液となり、ビームサーベルにまといつく。
そのビームサーベルで、ティエリアはイルジオンの精霊に残像を作らせ、シルフの力をかりて横にすべり、そこからロードヴァンパイアの心臓を突き刺した。
「ああああああああ!!!!」
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