カルマ







「ロックオン。愛しています」
「どうした?」
ベッドの中で、涙を零すティエリアを、ロックオンが優しく包み込んでくれる。
「私の罪は消えない」
「だから、泣くなってば。これは俺がかってにしたころだから」
隻眼は、痛々しい包帯に包まれていた。

ティエリアを庇って負傷したロックオン。
利き目は再生治療を受けるのを断ったため、完治は絶望的だった。

「私は罰をいつか受ける、そんな気がするのです」
「どんな?」
「あなたに愛されすぎて、いつかあなたがいなくなる罰」
ティエリアはまた新しい涙を零す。
毛布の中にもぐって、ティエリアは子供のように泣いた。
「どうかいなくならないで」
「いなくならないさ。ティエリアを置いてはいかないよ。愛している」

愛していると囁かれれば囁かれるほど、この不安は大きくなってくる。
自分は、ロックオンという人間に依存しすぎている。
彼を失えば、ティエリアは平静ではいられないだろう。

「僕も、愛しています」

ティエリアの罪は罪ではない。
それでも、神は贖罪を望むのだ。

何も罪は起こしていないのに。

運命は、それでも過酷にその時へと時間を刻んでいく。

「愛しています。消えないで」
「消えないよ」

二人は静かに寄り添いあう。
「はい」
ティエリアは、泣き止んで笑顔になった。

愛とは、なんと業(カルマ)であるのか。

「消えないで」

それはもう、願いでも祈りでもなく。