また、ブリーフィングルームに咲き誇るティエリア自慢の花を、刹那が勝手に摘んでしまった。 ティエリアは怒ることはない。 刹那は、無意味にそんなことをしないから。 「フェルト」 名前を呼ばれて、フェルトは振り返る。 刹那は、白い薔薇の花をフェルトの髪に飾る。 「フェルトには、やはり白の薔薇だな」 「刹那。ありがとう。また勝手に、花を摘んでしまったのね」 刹那から花を贈られ、髪に飾られるのはとても嬉しい。でも、せっかく綺麗な花は摘まれてしまったことで、この後枯れるしかないのだ。 「フェルトは、綺麗だ。もっと自信を持ったらどうだ?」 「そんなの。私には無理よ」 心の中で、ドキドキしている。 刹那は無自覚に、フェルトをときめかせる。 「フェルト、こっちに」 呼ばれて、フェルトは刹那の部屋に入った。 刹那がくしと髪ゴムとリボンをとりだす。いつもの髪型から、フェルトは鮮やかにツインテールに結われ、その上から綺麗な白のリボンを巻かれた。 「ほら、似合っている」 刹那は、意外なことにこういったことに器用だ。 鏡を渡されて、フェルトの顔にも笑みが浮かぶ。 「刹那の髪も結ってあげる」 そうして、刹那は少し長くなった髪を無理やりツンテールに結われてしまった。 「はははは、あははは、はは、似合っているぞ刹那」 刹那の部屋に戻ってきたティエリアが、刹那の顔をみたとたん、ベッドに倒れて笑い出した。 刹那とフェルトは顔を見合わせて、目で合図する。 そうして、ティエリアもツインテールに結われ、三人はその日一日ツインテールに白いリボンと奇妙な格好で、過ごすこととなった。トリオで一緒の髪型なのだから、奇妙なのだ。 フェルトは思う。 刹那の傍にいるのが、ティエリアでよかったと。そして、傍にいられることがとても嬉しいと。 |