25話補完小説「白い花は聖棺の中へ」







「エクシアで、決着をつける」
刹那は、ボロボロになったダブルオーライザーの太陽炉を、宙に漂っていた懐かしいエクシアの機体にのせて、最後の戦いに挑んだ。

同じく、オーガンダムを見つけたリボンズは、それに太陽路をのせてガンダムを起動させる。
リボンズは、勝利を確信していた。
「僕は神そのものだ。たとえ純粋種とはいえ、負けるはずがない」

戦いは、最後にはガンダムに乗っての殴り合いになっていた。
フェルトからもらった白い花は、ダブルオーライザーの機体に穴が開いたときに、宇宙へと吸い込まれていった。
それに手を伸ばしても届かない。

あれは、未来の象徴。
けれど、象徴であって未来ではない。

勝ち取るのだ。
この戦いに勝って。

「俺は負けない」
純粋種として目覚めた刹那。
それを促したリボンズ。
それは運命か、或いは必然か。二人は分かり合うことはできなかった。

互いに、命をかけて、最後の刃をまじえる。
光が、あふれた。
刹那の耳に、どこからかマリナの歌が聞こえてきた。
そう、あの歌のように、世界に平和を。

刹那のヘルメットが粉々に砕ける。
純粋種の力。
そう、まるで刹那の可能性のように。
刹那の体は粒子化し、ダブルオーライザーの機体ごと粒子化したように、刃を受けることなく再びダブルオーライザーのコックピットにいた。予備のヘルメットをすぐに着用し、生命維持は安定ラインとなる。

「勝った、のか」
刹那の瞳は金色に輝いていた。
リボンズ・アルマークは完全に生命活動を停止した。ヴェーダと一体化していないため、また意識体となることもできずに滅びた。

「刹那、刹那!」
トレミーから通信が入る。
「大丈夫だ、無事だ」
「みんな聞いた!?刹那がやったわよ!」
刹那は、真紅に戻った瞳を閉じる。

エクシア。俺のもう一つのガンダム。ありがとう。
そして、刹那は大破したダブルオーライザーごと、ケルヴィム、アリオスと一緒に収容された。

それから数ヶ月。
刹那は、トレミーの窓から、白い花畑を見つめていた。
「白い花。きっと、ここに流れ着いたんだ」
トレミーは、CBとして空を翔る。

「見守ろう。皆で、世界を」
刹那は操舵室の中心に立っていた。
アレルヤは今は巡礼の旅に出ていない。ライルは健在だ。そして。
「僕も、見守る。皆と一緒に」
操舵室に入ってくる、華奢な人影。いつもの制服を着ている。その後ろには、同じ制服をきたシンメトリーを描く少年。
「ティエリア、リジェネ。大丈夫か?」
「大丈夫。意識体の肉体の定着は完全なものとなった。スペアの肉体で生きることは、悩んだんだ。あのまま、ヴェーダと一体化して完全に眠りにつこうかとも思った。だけど、僕も歩きたい。人間として、君たちと明日を」
「ということで、僕はリジェネ・レジェッタ。ガンダムマイスイターになるから、よろしく」
「はぁぁ。全部で5機か?アレルヤの分も含めると。こりゃ忙しい」
イアンは、格納庫に戻ってしまった。修理中のガンダムを、とにかくなんとかしなければならない。ボロボロすぎて、新しく作ったほうがはやいかもしれないが、CBの基地で補給を受けたりしながら、元来あったダブルオーライザー、ケルヴィム、アリオス、セラヴィはなんとか形になった。

「僕のガンダム、実はあるんだよね。隠れて作ってた」
「どこに?」
ティエリアが問いかける。
「月の裏側に、もう一つ隠れた基地がある。そこに。名前は「アーク」だよ」
「聖棺(アーク)・・・アークエンジエルのアークか」
「流石ティエリア。察しが早い」
リジェネは嬉しそうだった。
「それから、君、刹那だっけ。ティエリアは渡さないから」
刹那は、笑っていた。
「リジェネ!」

「さぁ、行こう。世界を廻る旅へ。戦争があれば、また武力介入する」
刹那が、真紅の瞳で前を向く。
「進路固定。このままトレミー全速前進!」
ティエリアが、ミス・スメラギのかわりに指揮をとる。

それは、終わらない物語。
彼らがいる限り、CBは健在だ。
まだまだ、物語は続く。彼らが紡ぎ続けるのだ。