こうして、ジャボテンダー殺人事件は幕を下ろした。 ロックオンは反省し、地上に降りる時は必ずティエリアと一緒に降りた。 もう、ふらふらと遊ぶような真似は一切なくなった。いつも、ティエリアの傍にいて、一緒に眠った。 「ほんとに、ごめんな。遊んでるふりしてたけど、友人が敵勢力の情報つかんでて。なかなか聞き出せなくて・・・ずっとティエリアのこと放置してた。ほんとにごめんな」 ロックオンにも、ロックオンなりの事情があったのだ。 ミス・スメラギがロックオンの放蕩ぶりを止めなかったのも、敵の情報を聞き出すミッションがロックオンに下っていたからだ。 それ以降、ミッションであっても、ロックオンは放蕩三昧のふりで敵の情報を聞き出すような真似は、ティエリアをちゃんと恋人であると紹介してから行った。 それからほどなくして、敵の高官が集うパーティーに視察のミッションがくだる。 「似合っていますか?」 「ああ、似合ってるよ」 大人のドレスを着たティエリア。胸元は深いディープレースが編みこまれており、胸があってもなくてもあまり分からないような作りになっている。 ロックオンも正装していた。 ロックオンは、薔薇の花を胸元に飾っていたが、それを器用に髪留めと一緒にさせてティエリアの髪に飾る。 深い紫紺の髪には、真紅の薔薇よりも白い薔薇がはえる。 「忘れな草の髪飾りが一層映えるな」 反対側の髪には、ブルートバーズの忘れな草の髪飾り。 誰もが、ティエリアを振り返る。 ティエリアは無性であるが、男性でもないため女装している、というわけでもない。 むしろ、その細身と長身をいかしてモデルのような素晴らしい着こなしぶりだ。タキシードを着ると最初は言い張っていたのだが、肩幅が狭すぎてだめだったのだ。 ティエリアは無性だが、骨格の作りは女性を基礎としており、体つきも未熟な少女のようだ。 「さぁいこうか、俺だけのお姫様」 「はい、僕だけの王子様」 ミッションスタート。 二人は、パーティーの中の華やかさに埋もれることもなく、ティエリアのもつ氷の花のような美貌と、ロックオンの男性としての整った顔立ちのお陰で、少し目立っていたが、お陰で高官のほうから声をかけてくれた。 「おや、君は、あの財閥の御曹司だったね。そちらの女性は?」 「私の婚約者です」 「そうかそうか。ほんとに絵になる二人だね。十分にパーティーを楽しんでいってくれたまえ。君たちのような未来ある二人に、よい話があるのだよ。あとで、別室で・・・・」 その話を聞くことが、今回のミッションだ。 財閥などのセレブの人間に、出資をつのる秘密話。 その内容は、恐らくはガンダムに対抗するためのもの。 二人は、無事にミッションをクリアした後、パーティーを抜け出した。 「僕にあるだけの愛を、あなたに捧げます」 「ならば、俺は全てをお前に捧げよう」 まるで、童話の姫君と王子のように、二人は優雅に振舞う。 約束のように、キスをする。 「何度でも、いう。愛している」 「僕も何度でも。愛しています」 ------------------------------------------ ジャボテンダーシリーズですが、なんかシリアス長編ぽくなった。 こんな終わり方もいいかな。 ミホリ様と八兵衛様へ。 |