刹那とティエリアの刻む時間







「誕生日おめでとう、刹那」
「ありがとう、ティエリア」
比翼の鳥として生きる二人は、ただ言葉だけで誕生日を祝う。
そこにはバースディケーキも誕生日プレゼントもない。
アロウズがいつ奇襲してくるかも分からないなか、誕生日プレゼントを用意する暇はなかったり、ティエリアは極度の料理音痴だ。
もしもバースディケーキを作ろうものなら、それを食べたものは目を見開いて失神するだろう。

「アレルヤからは、もう祝ってもらったか?マリーとライル、それにアニューも」
「ああ、もう祝ってもらった。マリーとアニューは手作りのクッキーとアップルパイをくれた。アレルヤはマルチーズのぬいぐるみ、ライルからはエロ本だった・・・・」
「ははは、ライルらしいな」
「アニューに見つかって、怒られていたがな」

「刹那。僕は、君に言葉をかけるだけで誕生日プレゼントなんて何もない。すまない」
「気にすることはない」

「刹那、目を瞑ってくれ」
「分かった」
ティエリアは、刹那に触れるだけのキスをした。
「ティエリア・・・・」
「僕にできるのは、これくらいだ」
「イノベイターとして俺は覚醒してしまった。人と同じ時間を生きることはできないだろう。それでも、ティエリアと同じ時間を生きることができる。一緒に生きてくれ」
「無論だ」
ロックオンを失ったティエリアは、刹那と生きる。
比翼の鳥として、魂の双子として。

恋人同士ではない。
でも、愛はある。
不思議な関係。
ティエリアは今でも一番ロックオンのことを愛している。それを承知の上で、刹那はティエリアを愛していた。

「いつか、地上で君の誕生日を祝える日がくるといいな」
「そうだな」

二人は、寄り添いながら、窓の外から輝く星を見る。
それは、遠い未来の話。