ジャボテンダー星からの使者7







アレルヤは自分の部屋にいればすぐに連れ戻されると分かっていたので、あえてドクター・モレノの診察室にきていた。
「お前も大変だなぁ」
「大変なんです針万本」
ドクター・モレノに額に聴診器をあてられる。
「大分いかれてるな、アレルヤの脳みそも」
「そうかぁ針万本」
逃げられたというのに、アレルヤは着ぐるみを脱がない。そして語尾に針万本を忘れない。
「ティエリアに、まぁ付き合うにはいろいろと人間捨てないといけないからな。まぁがんばれ」
「ありがとう針万本。そうだね、そろそろ戻るよ針万本」

「ただいま、針万本」
ティエリアのところに戻ってきたアレルヤ。
「ああ、良かった、家出したのかと・・・・」
このトレミー以外にアレルヤの行き場所なんてない。
「そろそろ、僕は母星に戻ろうと思う針万本。ティエリア、いろいろと楽しくて苦しかったけど面白かったよ針万本。またいつか会おう針万本」
「ジャボンさん、もういってしまわれるのですか。せめて泊まっていくくらいは」
「ジャボテンダー星に妻子を置いて来ているから針万本。もう帰らなくては針万本」
「そうですか。残念です。では、サインをください。あと、このコーラあげます!」
アレルヤにサインをもらったあと、アレルヤはティエリアから1リットルのペットボトル入りのコーラを20本もらった。
「あ、ありがとう針万本。ティエリア、お誕生日おめでとう針万本。僕はそれを祝うために、ジャボテンダー星からやってきた使者だったんだよ針万本」
「ジャボンさん」
ティエリアは、アレルヤにぎゅっと抱きついた。
アレルヤもティエリアを抱きしめ返す。

「ティエリア、そろそろお別れだ」
ロックオンが、お土産を全てアレルヤの部屋に運び込んで、声をかける。
「いつまでもお達者で。また遊びにきてください」
「ティエリア、君も元気で針万本」
「さようならああああ」
ティエリアは、マッハで去っていくアレルヤに涙を零しながら手を振っていた。
そう、アレルヤはマッハでトレミーの廊下を走り、自分の部屋に戻ると着ぐるみを脱いだ。
「はぁ。終わったぁ」
アレルヤは、やっと解放され、ジャボテンダーの着ぐるみを見つからないようにしまいこむ。これはもともと、ロックオンが作って、着たものだ。その時のロックオンも人生を捨てていたっけ。


「やあ、みんな」
「アレルヤ!」
ティエリアは、有無をいわせずアレルヤを投げ飛ばした。
「ああああ!!」
「君という人は、無断で戦闘訓練も欠席して!ジャボテンダー星からの使者が着ていたんだぞ!会わないなんて、無礼だ!」
「いやぁ、いろいろとすることがあって」
アレルヤは、いろいろと言い訳をしまくった。
ティエリアは、怒っているようであまり怒っていなかった。
よほど、ジャボテンダー星からの使者が嬉しかったのだろう。それにしても、顔の部分が露出しているのに、アレルヤと本気で気づかないあたり、ドクター・モレノのいったとおり、ティエリアの脳も相当やばいのかもしれない。

「さて、ティエリア、バースディケーキ焼いてるんだ。食堂にいこうか」
「お疲れ、アレルヤ」
こっそりと、刹那がアレルヤに耳打ちする。
アレルヤは笑顔になって、刹那の頭を撫でた。
ロックオンからも、後で何度もありがとうと言われた。

ティエリアは、とてもその日幸せそうだった。
アレルヤからもらったサインを、ティエリアは額縁にいれて自分の部屋に飾った。

「いつかまだ、ジャボテンダー星の方と会えるといいな」
そんな言葉に、ロックオンはティエリアの頭をなで、こう答えるのだった。
「きっとまた会えるさ。そう、いつでも望めば」
「じゃあ、明日」
「い、いや、それはちょっと無理だろう。むこうもいろいろ忙しいんだよ」
「また会いたいな」
ロックオンの腕の中で、ティエリアは本当に幸せそうだった。

こうして、ジャボテンダーでティエリアの誕生日を祝おうの会は無事終了した。発案は実は刹那だったりする。それを実行に移すあたり、流石はマイスターズというところか。

そして、アレルヤの部屋にはティエリアの恐怖の手作りクッキーと、たくさんのコーラが残された。
そして、ティエリアの元を去って、アレルヤに戻った日に、アレルヤはクッキーのせいで倒れて(疲労ではない)治療カプセルに入る羽目になった。
それでも、アレルヤはティエリアが喜んでくれてとてもよかったと思っていた。
協力してくれたロックオンと刹那にも感謝を。あと、ドクター・モレノにも。

また、いつでも望めばジャボテンダー星の使者はやってくる。着ぐるみがある限り。ジャボンさんが去っていった1ヶ月後、ジャボンさんの息子のジャボランなる使者がやってきた。中身はロックオン。
望めは、いつでもやってきてくれるから。
ティエリアはそれはそれは幸せだった。


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ミホリ様へ。どっちかっていうと、、、、駄文長編になった予感ですが。
ジャボテンダーシリーズ長編