一緒のベッドの上で寝そべっていたフェルトと刹那。 ふと、刹那が珍しく自分の昔のことを話し出した。 それは、少年ゲリラとなり、自分の両親を殺したという壮絶なもので、フェルトは刹那を抱きしめた。 「もう、二度とそんな世界にならないようにしましょう」 「ああ、そうだな。俺のような子供が世界からいなくなるように」 刹那もフェルトを抱きしめ返す。 ゆっくりと時間が流れる。 「ねぇ、刹那。あなたの本当の名前・・・・聞いてもいい?」 「俺は、本当の名前を捨てた」 「それでも、知りたいの」 「おれの本当の名前は、両親を殺し、ゲリラとして生きた名前だ」 「だめかな?」 「いいや。ガンダムマイスターたちは知っている。秘密事項になっているので、他のクルーが知らないだけだ」 刹那は、ピジョンブラッドの真紅の瞳で優しくフェルトを見ていた。 「一度しかいわない」 「うん」 「ソラン」 「ソラン・・・・・なんて綺麗な名前」 「仲間たちにも言われた。マリナにも。ソランとは、美しい名前だと」 「マリナさんのこと、まだ気になる?」 「いいや。彼女とはもうお別れを言った。彼女は皇女として生きることを決めた。マリナを愛していると思っていた。だが、俺はマリナに亡き母を重ねていたんだ」 「刹那」 「その名前のほうが、俺は好きだ。ソランと呼ばれても、嫌な記憶を思い出すだけで」 「ごめんなさい、私何も考えずに」 「いいんだ、フェルト」 刹那は、フェルトを抱きしめる。 「俺は刹那だ」 「ええ、刹那」 二人は睦みあうこともなく、ただ傍にいるだけの時間を過ごす。 ゆっくりと、ゆっくりと二人は進んでいく。 人の愛し方は人それぞれ。 幾通りもあるのだから。 |