リジェネはバスルームでシャワーを浴びていた。 少し潔癖症のくせがあるリジェネは朝と夜だけに限らず、汗をかけば必ずシャワーを浴びる。そしてバスルームからあがって、バスローブをまとうとそのままはだしでリビングルームにくる。 ポタポタと、雫が床に落ちる。 「リジェネ、またシャワー浴びてたの?」 「この季節は暑いから。さっぱりしたい」 ティエリアがソファーに座ってテレビを見ていた。 ティエリアの前までくると、リジェネはティエリアが見ているテレビのほうを見る。 「こらこら、お前さんもちゃんと髪ふけ」 ティエリアの隣に座っていたニールが、リジェネの手からバスタオルを奪うとがしがしと乱暴にリジェネの濡れたままの髪をふく。 濡れているリジェネの髪は天然パーマがとれていてほぼ直毛になっていて、まるでティエリアみたいだった。 「お前さんもティエリアも、なんでちゃんと髪ふかないんだ」 「めんどくさいから」 「ニールがふいてくれるから」 二人の回答はそうだった。 「あ、ティエリアがふいてくれるから、っていう答えもある」 リジェネはニールに髪をふかれながら、いつも髪をふいてくれるティエリアを思い出す。 「ニール、かわるよ」 ティエリアが、優しくリジェネの髪の水分をバスタオルで吸い取ってくれる。 「やっぱりティエリアが一番だ」 「そんなに甘やかしてるとだめだぞ」 ニールが注意するが、二人はいつもこうだ。 「ニールだってティエリア甘やかしてるじゃない」 「う、それは。だって恋人同士だし」 「僕らはツイン。双子同士だ。別に変じゃない」 リジェネは夏用の服に着替える。 ハーフパンツにTシャツとラフな格好で戻ってきたリジェネは、髪を後ろで一つにまとめた。 ティエリアの髪はもう大分長くなっている。リジェネの髪も、合わせるように大分伸びてきた。 理由は、ティエリアが髪を伸ばしているから。 「リジェネの髪も大分伸びてきたね。切らないの?」 「ティエリアが伸ばしてるから切らない」 リジェネはティエリアの背後からティエリアに抱きついて、それからクッションを抱えてソファーに半分寝そべってしまった。 「ニールのばーかばーか」 リジェネは、ティエリアの隣に座ったままのニールをからかう。 「リジェネがばかだ」 リジェネはティエリアよりも子供っぽい部分がある。 いつもニールをからかって遊んでいる。 「僕はばかじゃない。僕は王様なんだ」 「バカの王様か」 「ちがーう!」 クッションを、ニールにボスっと投げる。 リジェネはティエリアの隣にあったティエリアのジャボテンダーをかわりに抱きしめた。 「リジェネ、今日の夕飯はカレーがいい」 「分かったよ。メニュー変更する」 ティエリアにどこまでも甘いのは、なにもニールだけではない。リジェネもどこまでも甘い。 「ところで、このテレビ再放送じゃない。この間見た」 「ジャボテンダーさんが登場するんだ。だからまた見たくて見てる」 「ふーん」 ティエリアのジャボテンダー中毒はかわっていない。 三人は、同じ家でなんとも平和な時間を過ごす。 |