流れ落ちる流星。 それは、星が流れたものではない。 散っていく命が流れていくのだ。 モビルアーマーが、あるいは艦隊が、落ちていく。 それが、流星のように見えるのだ。 「未来のために残すもの」 マリナは、流星を見上げた。 流れ落ちていく星のようにみえる、本当に。 それは、散っていく命の証なのだというのに。何故にこんなにも綺麗なのだろうか。 美しい。 人の命は、儚いがゆえに散る間際さえもこんなに美しく彩られるのだろうか。 「刹那・・・・」 命にかえても、衛星兵器を破壊すると文章を送ってきてくれた刹那に、マリナは文章を送り返す。 超小型パソコンに、慣れない手つきで文字を打つ。 (衛星兵器を破壊してくれてありがとう。中東は、これで救われました。刹那の力を信じていたの。絶対に、破壊してくれると。子供たちの未来のためにも、一刻も早くこの世界が平和になることを祈っているわ。私にできることは、ただ祈ることだけ。本当に、なんてちっぽけなのかしら。何もできない。刹那、信じているわ。あなたのことを。あなたの未来を) 転送すると、しばらくして文章が戻ってきた。 (衛星兵器破壊ミッションは無事にクリアした。皆のお陰だ。マリナ、俺はいまあんたから離れた遥か遠くの宇宙にいる。姿をみることも話すこともできない。だが、これを使えば会話は成り立つ。俺は、マリナの未来が輝くものであることを祈っている。子供たちが、俺のようなゲリラになるような世界がこないように、俺は世界の歪みを正す。俺の方法で。歪みは、俺が駆逐する) (刹那。どうか、私の思いが届くように。遠く離れていても、あなたのことを思っているわ) (俺も、マリナのことを忘れることはない。傍にはいられないが、心は常に傍にいる。中東のことは任せた) マリナは、また文字を打った。 (私の力なんてしれているけれど、できる限りのことをするわ) (それでこそマリナだ) (ありがとう、刹那) (何かあったら、また文章を送ってくれ。流石に、今回は疲れた。仮眠にいく) (おやすみなさい) それきり、刹那からの転送はこなかった。 戦いに疲れ果て、今頃もう眠りについているのだろうか。 マリナは、また空を見上げた。 流星は、たえまなく降り注いでいた。 |