バーバラの隣の家には、もう前宇宙総帥閣下は住んでいない。 コロニー3210にティエリアは向かった。 ニールが送ってくれたイメージの場所に住む少年を迎えにいく。 「お姉さん、だあれ?」 ティエリアは、青い瞳をした少年を抱きしめる。 「私は、あなたを愛した人」 「どうしてお姉さん泣いてるの?」 「あなたが、たとえ形がどう違えども生きているから」 ティエリアの手から、昔ニールに贈ってもらった誕生日プレゼントのガーネットが転がり落ちる。 少年は、それを拾って空に透かしてみせた。 「綺麗な色・・・・あれ?」 少年は泣いていた。 「一瞬の永遠か・・・・」 「どうしたんだい?」 「昔、これをあげたね。うん、これを君にあげた」 「ニール?」 「そう、昔そう呼ばれていたような気がする。よく思い出せないけども、でも、うん、お姉さんとずっと一緒にいた」 一緒についてきたバーバラが、少年の右手を強く抱きしめる。消えてしまったニールという霊の記憶を、どうか少しでも持っているだろうかと探るように。 「ありがとう」 少年は笑った。 「僕の・・・・いや、俺の今の名前は」 それは、一瞬の永遠。 たとえ昔のように愛し合えなくても、会えるだけでいい。 それは、一瞬の永遠。 少年は、まだ12歳。異種の血を引いていて、寿命が長い。 ティエリアは久しぶりにリジェネと刹那と会った。 それから数年後、ティエリアの隣には、成長した少年がいつも傍にいて優しくティエリアの傍にいたという。 それは、一瞬の永遠。 世界でもう一度あなたと、出会う。 |