ティエリアは、綺麗で天才で、一言では表現できない魅力をいっぱい持っていて、戦いや仕事をしている時はクールビューティなのに、愛しい人の傍にいるときはアホかわいく、行動もたまに幼く、ジャボテンダーさんと一緒にいるきは幸せいっぱいで、幸せすぎてまたアホになって。 ロックオンに愛されて、幸せで嬉しくて、かわいく乙女になっていく。 ジャボテンダーさんを振り回しては、今日もトレミーの皆に愛されている。いつでも皆に愛されている。ジャボテンダーは今やトレミーの重要なメンバーの一人だ。 「ええと、ラッセのカルテは・・・・・ん。ジャボテンダーカルテ・・・・・・」 トレミーのドクターであるモレノはカルテの整理をしていて、ジャボテンダーのカルテを発見してそれをつまみあげた。ティエリアと付き合っているせいで、いっつもティエリアが「ジャボテンダーさんが」と言っては診察室を訪れるため、いつの間にかジャボテンダーのカルテまで作ってしまったドクター・モレノは十分にティエリアに毒され、ティエリアをからかっているつもりがいつの間にかティエリアのペースに巻き込まれていた。 誰でもそうだ。トレミーにいる限り、ティエリアに接する限りこうなってしまう。悪いことではないだろう。 ちなみに、ジャボテンダーカルテにはずらーっと病名やら怪我の具合が記載されていて、1枚では足りなくなって6枚あった。どんだけ怪我や病気しとるんだ、ジャボテンダー。丈夫だな、おい。 子供なるジャボリー君のカルテも2枚ある。 親子して、病気や怪我にかかりやすい家系らしい。 ちょっとまて、俺。今家系とか思わなかった?ジャボテンダー生物じゃないよ。人間じゃないよ。家系なんてあるはずないじゃないか。そもそも、生き物でないのだから、カルテなんてなんであるのよ。いや、あるんだよここにずらーっと。ほらほら、これこれ。 なんで病気や怪我するわけ?いや、ティエリアが「ジャボテンダーさんが!」っていっていつも診察室に持ってくるからで、一応は病人か怪我人ということになるからで、しかもそれが日常風景の一部になってるから、俺も変に思わなくなった・・・・・。 ドクター・モレノは持っていた聴診器を自分の頭にあてた。 「だめだ、異常だ」 異常だ。以上だ。委譲だ。異状だ。いじょうだ・・・・。 彼は、引き出しの奥にしまってあった、煙草を取り出すとライターで火をつけた。 トレミーは完全禁煙である。すぐにセンサーが異常を感知して、天井に備え付けられていたスプリクラーが作動して水がシュアワアアと降り注いでくる。 ジュッ。 音をたてて、たばこの火が消えて、そのまま水の重みに耐え切れずに床に落ちた。 「ああ、残りすくないのにまたやっちまった・・・・」 隠れた喫煙家には、貴重な煙草を無駄にしてしまって辛いことだろう。 るんるんるん。 そんな音が聞こえてきそうな、足取り。 ああ、そうか、ドアに「面会謝絶」ってたてふだかけとくの忘れた。忙しい時は、面会謝絶。使い方間違ってるだろうが?ああそうさ、間違っている。でも「面会謝絶」にしておかないと、仕事を真面目にしたいときは集中できないんだ。そう、こうやって書類整理とかのめんどくさい仕事は・・・・・。 机の上に山のようにつまれた書類。書類整理なんかに向かないドクター・モレノは気づけば自分のデスクは書類にうもれて、床にまで置かれてある始末だ。 トレミーに乗る乗員すべての健康管理を一人で担う彼は、多忙だ。そう、多忙なはずなのだ。戦闘後などでガダムマイスターが負傷した時など、本当に猫の手もかりたいような忙しさ。 定期的に健康診断を行い、また精神的ケアのためにカウンセリングも行っているので、何か悩みを抱えたクルーは、相談しにドクター・モレノの診察室を訪れる。 そう、ここは神聖なる医療施設なのだ。 つまりは、そこに君臨するドクター・モレノは神様。 トレミーで唯一医師免許を持っている彼は、本来尊敬され、そして労わられるべき存在である。 そんな彼は、スプリンクラーを作動させてしまい、瞬時に書類などが水にひたって使い物にならなくなるのをふせぐためにシートを机にかぶせる。もう条件反射に近くなった素早い行動。 「ごめん、臭い!」 診察室に響く、明るい声。 「すまんな大将、まだ昼とってなかっただろ。忙しいだろうにまた頼むわ」 「ごめん、臭いーー!!」 「いや、ティエリア違うだろ。ごめん、臭いじゃなくって「ごめんください」だろ。ごめん、臭いだとドクター・モレノが臭くてにおってるみたいだろ。失礼じゃないか」 いや、すでに十分その説明で失礼だ、ロックオン・ストラトス。こんにゃろうが。怪我したとき、今度染みるように手当てしてやろう。ふはははははは。 NEXT |