青春白書16







「ニール、大人気ない」
子供にティエリアを独占されて、ニールはティエリアを抱き上げてしまった。
子供が背が届かないので、ニールの足に蹴りを入れた。
「こら、親を蹴るとは何事だ!」
「ママを返せー!バカニール!!」
幼いながらも、しっかり血は変なところで受け継がれているようだ。ティエリアを独占したいというところが、受け継がれている。それはそれはもう、しっかりと。
「ママは僕のものだ!バカニール、返せ!」
幼い二人の我が子は、ニールをけり続ける。
ちゃんとしつけはしているのだが、ニールに対して子供は母であるティエリアを奪われるとライバル心をむき出しにしている。

「パパー」
「おvなんだ?」
子供特有の大きな瞳で見上げて、ニールを呼ぶ。
パパと呼ばれて、ニールがティエリアを地面に下ろした。
「パパー。大好きー」
「そうかー。俺も大好きだぞー」
子供を抱き上げると、子供は幼いのにどこでそんなことを覚えたのか、ティエリアの血を引いているような言動をとる。
「大嫌い!」
「何をおおお」
逃げ回る子供を追い掛け回すニール。
そして、ティエリアの背後に隠れて、じっと石榴色のティエリアと同じ瞳で見上げてくる。
「大嫌いの反対」
「う」
この視線。ティエリアの視線そのものだ。
この視線に弱い。
幼いくせに、目線の使い方をとてもよく理解している我が子に、ニールはこれは年を重ねるごとに一筋縄ではいかないと思った。

「ニール。愛してます」
「俺もだよ、ティエリア」
二人はキスをする。
子供が背伸びをして、僕も僕もとせがんでくる。
「僕も愛してるのー」
「愛してるよ」
幼い我が子の額にキスをして、ティエリアは抱き上げる。そのティエリアを、ニールが抱き上げる。

ピンポーン。
チャイムがなる。
ニールはティエリアと我が子を抱き上げたままドアをあける。連絡は受けてある。
「アレルヤ」
「アレルヤおじいさんだ」
嬉しそうに、子供はアレルヤの方を向く。
「はいはい、アレルヤおじいさんですよー」

「アレルヤ、大好き!」
ティエリアは、昔と変わらない声と笑顔をアレルヤに向ける。
アレルヤもマリーと結婚したが、まだ子供はいない。そのせいで、遊びに来ることは多い。
「僕も大好きだよ、ティエリア」

そこに、昔のように女の子としてアレルヤを慕うティエリアはいない。
いるのは、ニールの人妻で子供ありのティエリア。
「おう、アレルヤ、今日は泊まってけよ」
「言われなくてもそのつもり!」
「アレルヤおじいさん、遊んで!」
子供が、ティエリアの手からはなれてはしゃいでアレルヤの服をひっぱる。
そんな光景を、ニールとティエリアは二人並んで幸せそうに見つめている。
「大好きです、ニール」
「俺もだよ、ティエリア」
そのまま唇を重ねる二人は、いつでも新婚気分だ。

「ジャボテンダーごっこしよ!ニールもママも一緒にあそぼ!」
きゃっきゃとはしゃぐ我が子の愛しい声を聞きながら、二人はいつまでも抱きしめあっていた。

青春は、もう少し昔の出来事。
青春白書というドラマがあった。小説だったかもしれない。それが、どんな物語でどんな内容であったのかは二人は見ていないので知らない。
二人の青春白書は、ひとまずここでピリオド。

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学生もの、んでロックオン教師でティエリア生徒で。
書いていったら、なんかロク→ティエ→アレルヤになった。
意味もなく続いていたけど、とりあえず終幕。