「起きろおおお。7時だぞおおお」 ロックオンが、ティエリアのかぶっていた毛布をはぎとる。 ティエリアは、ジャボテンダーさんを抱きしめたまま、シーツにしがみついている。 「もうちょっと。眠い・・・」 「だーめ」 石榴色の瞳がうっすらと開く。 う。 今日もくる。 潤んだ瞳が、熱をこめたように見上げてくる。 ロックオンの手をとって、甘えるような声でティエリアは言う。 「もう少し。あと30分・・・・」 もう毎日のやり取りだ。 「だめだ。起きろ」 「どうしても、だめ?」 石榴色の瞳が見上げてくる。 「だめー。起きなさい」 「やだー」 「やだじゃありません」 「やー」 シーツにぐるぐるとくるまるティエリア。 まるで簀巻き・・・・言ってはいけない。思っても、言ってはいけないのはロックオンは分かっている。 攻撃の手から逃れようと足掻いているのだ。無論寝ぼけている。 「寝るのー」 「起きるんだ」 「寝るー」 普段のティエリアしか知らない者が見たら、なんて甘えん坊と思うだろう。おまけに言葉も幼い。 「はいはい、おきなさい」 ティエリアがくるまったシーツをはぎとる。 ジャボテンダーが飛んできた。 最後の足掻きだ。 ティエリアは、目を擦るとそのままパジャマを抜き出す。 「はい、着替えて着替えて」 下着姿でぼーっとしているティエリアに服を着せていく。 「歯を磨いて顔洗ってこい」 「ういー」 ふらふらした足取りで洗面所に向かう。 そこでティエリアは、顔を磨いて歯を洗う。ブクブクブクと沈んでいくティエリアの首根っこを捕まえて、ロックオンはタオルを持ってティエリアの顔をふく。 「こらこら、洗面所で溺死する気か」 「おはようございます、今日もティエリアは一日頑張って・・・・・・・・・・ZZZZZz」 「立ったまま寝るなあああああ!!!」 もう、毎日が喜劇だ。 そのままたったまま眠ったティエリアを右手に抱えて、左手にはジャボテンダーを抱えて、ロックオンは部屋を出る。 食堂に向かう。すれ違うクルーはおはようと声をかけてくるのと、腕に抱えたティエリアを見て、今日も大変だなぁとねぎらいの声をかけてくる。 ロックオンはなれているので、別に大変だとかそんな感情は持っていない。 食堂につくと、ティエリアも覚醒する。 「ロックオン、ホワイトメロンソーダ二つ」 「はいはい」 ティエリアはジャボテンダーをカウンターの席に座らせる。 もってこられたコップをジャボテンダーの前に置く。 「ジャボテンダーさん、おはようございます。今日も一日がんばりましょう」 そんなおもしろおかしいティエリアを、アレルヤや刹那が見て、ああ今日も一日が始まるのだなと実感する。 今日はロックオンの勝ち。 勝ちの日が多いけど、負けて一緒に昼まで眠る日もある。 勝ち負けは、ロックオンがティエリアのかわいさにやれたか、耐えるかで決まる。 毎日ご苦労様、ロックオン。 でもロックオンは、そんな一日の始まりが大好きである。 |