じーっとティエリアはロックオンを見つめていた。 じー。 じー。 じー。 「あの、俺なんかした?視線が痛い」 ジャボテンダーと一緒に、毛布をかぶったティエリアは潤んだ石榴色の大きな瞳で見上げてくる。 「なんで顔隠すんだよ?」 毛布で半ば顔を隠してしまったティエリアの毛布をひっぱると、ひっぱり返された。 「だって、あなたが」 「いいから見せろって。熱でもあんのか?」 「きゃあ!」 毛布をはがされて、ティエリアは高い声を出す。 けれど、すぐに毛布を奪い返してぐるぐると毛布を体に巻きつける。まるで簀巻きだなと思ったが、つっこまない。行動がかわいいから。 布団の中に隠れては、また顔を見せるティエリア。 ジャボテンダーさんも一緒に隠れては、一緒に見えてくる。 何がしたいのか、ということは聞かない。こういうことに意味があるわけではないだろう。ただの照れ隠しみたいなものだろうとロックオンは思った。 チュ。 ティエリアの額にキスをすると、ティエリアはボッと火をついたように顔を紅くして、また布団の中に隠れてしまった。 「ずるいです」 布団の中に手を進入させ、わき腹をくすぐってやった。 「きゃはははは!」 たまらないとばかりに身を捩るティエリア。ジャボテンダーが飛んでくる。それはロックオンの顔にひっとした。 「お前さん、すぐ顔赤くなるのな」 「そんなことは」 「ほっぺが紅いぞ」 さっと布団の中に隠れるティエリア。 「あーもうかわいい」 「むー。あなたが、そんなに見つめるから…!」 布団の中でティエリアはもぞもぞしている。 「俺はいつでもティエリアだけを見つめてるぜ?」 ボッ。 また顔から火が吹いた。 「ほれほれ」 ロックオンにわき腹をくすぐられて、ティエリアは笑う。 「あひゃひゃひゃ」 「襲っちゃうぞー!」 「きゃー、襲われるー!リジェネ助けてー!」 布団の中に、またティエリアが隠れる。 ゴス! ロックオンの頭に、重い辞書がめりこんだ。 「おーおーおー。僕のティエリアに何してるわけ?僕がいるの忘れてない?」 リジェネだった。 リジェネはティエリアの部屋ならぬロックオンの部屋に遊びにきたのだ。ティエリアはいつもロックオンの部屋にいるので、会おうと思うとロックオンの部屋を訪れることになる。 そこで繰り広げられている恋人の光景を、最初は黙って見ていたが。ベッド脇のソファーに座って新しいエネルギー開発論文を読んでいたのだが、ティエリアがきゃっきゃと戯れるのはかわいくていいのだが、その相手がロックオンということにまず少し不機嫌になる。 二人が幸せであればそれでいいのだけど。 リジェネはロックオンに制裁をくわえて、ジャボテンダーさんをティエリアに渡す。 ティエリアはリジェネを布団の中に入れる。 そして、二人でクスクスと丸くなって布団の中で笑う。 「リジェネ大好きー」 「僕も大好きー」 二人の天使と悪魔は、シンメトリーを描きながら子供のように無邪気な声をあげる。 リジェネとティエリアは同じベッドで布団を顔までかぶって、じっとニールを見つめる。 「二人とも襲うぞこらー」 「きゃー」 「ひとでなしー!」 リジェネもティエリアと一緒にきゃっきゃと子供のようにはしゃぐ。 ニールのキスが、ティエリアの額に降ったかと思うとリジェネのほっぺたにも降った。 ボン! リジェネの顔は真っ赤だ。 「おーおー。ティエリアに負けぬ真っ赤な顔で。かわいいことで」 「し、しるか!」 リジェネは布団の中に隠れる。 ティエリアと一緒に、布団の中でかくれんぼ。 |