「そうだな。こんな結果残すなんてただの愚か者だな」 「それでも!!」 「それでも?」 「あなたを愛している。僕も愚かだ。万死に値する」 「世界を、さ。変えてくれ」 ロックオンは、噛み付くようにティエリアに口付ける。 「俺はもう世界を変えれない。だから、代わりに変えてくれ」 「僕はあなたと世界を変えていきたかった!」 「うん、知ってる」 ロックオンは、にっこりと笑った。ティエリアが放り投げたボレロを拾いあげて、ティエリアの肩に羽織らせる。 「自分で決断する、決めるって難しいと思わないか?」 「難しい」 「でも、お前ならもうできるはずだ」 「・・・・・・・・・分からない」 「こうやって、制服を着ることを決めて、刹那とアレルヤを探すことを決めて、仲間を守ることを決めて・・・ちゃんと決断してるじゃないか」 「僕は、ちゃんとできている?仲間を守れているのか?」 「ああ。ちゃんと守れてるよ。立派にリーダーとして歩んでる」 ティエリアは、少しきょとんとした顔になった。 「あなたに言われると複雑だ」 「何それ!励ましてやってるのに!もう、この子は!」 ぐしゃぐしゃに髪をかき混ぜられて、ティエリアは笑った。 笑顔を。 目は真っ赤にはれていたけれど。 ロックオンに向かって、綺麗な笑顔を向けた。 「そう、その表情。その笑顔、忘れるなよ?」 「?」 「泣きたいときは泣けばいいさ。でも、笑顔を浮かべることも忘れるな。楽しいことや嬉しいことがあったら、笑顔を忘れるな、ティエリア」 「はい」 「いい子だ」 抱き寄せられて、ティエリアはまた涙を零した。 「泣き虫だな?」 「あなたが言った。泣きたい時は泣けばいいと。今は泣きたい」 「そうか」 泣きつかれたティエリアは、ベッドに横になった。眼鏡は棚の上に置いた。 「あなたも、一緒に」 腕を引っ張られて、ロックオンは昔のように一緒にベッドに入る。 ティエリアが擦り寄ってくる。ティエリアを抱きしめながら、ロックオンは瞳を閉じた。 嗚呼。 どうか、この傷ついた天使がもう一度羽ばたけば。 NEXT |