たった一つの願い7







たった一つの願い。
それは、彼が生きていて欲しかったこと。
それは叶わなかったけれど、もういいんだ。

あなたはこの世界にはいない。
でも、僕の心のなかに、記憶の中に確かに生きている。

僕の記憶はあなたで埋め尽くされている。

あなたに生きていて欲しかったとは思う。でも、もうそれを口にすることはない。心の中にしまいこむ。

何度だって失敗する。挫折する。悲しみにくれる。でも、そのたびに僕は思い出す。

あなたと過ごした、幸せで平和な日々を。

あなたがくれた愛という名の感情を。あなたがくれた幸せの時間を。

「ティエリア・アーデ。私は、あなたを愛したことを誇りに思う。いつか刹那とアレルヤとまた巡りあう日まで、どうか僕を支えてください」

右手にはめたペアリングに口付ける。

ピチョンと、水面に雫が落ちるような音がした。エメラルド色の光が、指輪から少しだけ漏れて、まるで僕を包み込むように優しく照らしてくれた。

「無理はしない。自分のペースでゆっくりと、歩いていく。明日を」

ティエリアは、制服に着替え、眼鏡をかけると笑顔を浮かべた。

ロックオンが忘れるなといった、笑顔を。ロックオンはティエリアの笑顔が大好きだった。クルーの皆も好きだ。

「おはよう、フェルト」

「おはよう、ティエリア・・・・あら?」

「ん?どうした?」

フェルトは黙ってティエリアに抱きついた。

「ティエリアが笑顔浮かべてる!」

フェルトの頭をなで、ティエリアは優しい微笑を向ける。

「約束したから。笑顔を忘れないと」

「誰と?」

「秘密」

「ティエリア?」

ティエリアは歩いていく。世界を変えるために明日を。彼の代わりに。そしていつか刹那とアレルヤと邂逅する。そしていつか、自分の運命を知る。
そして、その先にあるものは。

エメラルドの河岸で微笑むロックオンの笑い声が、聞こえた気がした。


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鼻水ずびずび。
ニュータイプ(アニメ雑誌)3月号にのってたティエリアの高河ゆんさんの漫画よんで。今頃知って、アマゾンで急遽取り寄せた!
ゆんさんは昔から大好きだ!もう漫画16ページと短かったけど読んで鼻水ズビズビしたよ!
半年ぶりくらいに絵を描いてみた。もう終わってる。まぁいいや。
かんじとしては、同人詩のカバーイラストみたいなかんじ?んで小説が続いて〜と。オフで本出すきはないので。
ちょっといつもと違う雰囲気味わってくれれば。ゆんさんの漫画の中に出てくる台詞一部重なってるけど、リンクしてるかんじで書いたのでわざとです。