世界が終わっても「夏の日」







「ティエリア〜V」
「うーんうーん」
ティエリアはうなされていた。
ミーンミーン。蝉の声が開けっ放しの窓から、乾いた空気と一緒に聞こえてくる。
季節は夏真っ盛り。
「うーんうーん」
ティエリアはうなる。
暑い。暑くてどうしようもない。
日本式の畳の部屋で、布団をしいてティエリアはリジェネと一緒にお昼寝をしていた。というか、ティエリアひとりが寝ていたところに、リジェネがやってきて布団にもぐりこんで背後からティエリアを抱きかかえているという図である。
夏に人一倍弱いティエリアは、うっすらと目をあける。
「リジェネ、暑いよ」
「暑くても幸せ〜」
「あつい〜〜」
この部屋にクーラーはない。
ティエリアは、枕元にあった扇風機のスイッチを入れて、風を最大にした。
ミーンミーン。
蝉の鳴く声が遠くに聞こえる。
「リジェネは、暑くないの?」
「僕は夏には強いよ。ほら、体温低いでしょ」
リジェネの腕が背後から回ってきて、ティエリア全体を包み込む。その温度は冷たい。イノベイターである限り、同じく体温調節ができるだろうリジェネは、夏でも快適に過ごせるように体温がかなり低めになっていた。
「・・・・・少し、涼しいかも」
リジェネの手に手を重ねる。
「ティエリアは夏の体温調節苦手だね。暑そう」
「暑い〜」
「カキ氷でも食べる?」
「んー。暑いけど、今はきもちいいからこのままでいたい」
リジェネに抱きしめられながら、ティエリアは寝返りをうつ。
扇風機の風が、二人の髪を乱していく。
ミーンミーン。
夏の暑い昼下がり。
ティエリアは、またまどろんでいく。
「リジェネ、このまま寝る・・・」
「うん、僕もこのまま寝る」
同じ布団で、抱きしめあいながら、ツインは午睡する。

ミーンミーン。蝉の声が聞こえる窓を、ニールは閉じた。
閉じられていた次の部屋に続くふすまを全快にして、隣の部屋でクーラーをきかせてその風を二人が寝る畳部屋に送る。
「こんなあっついのに、よくもまぁくっついて・・・・でもかわいい」
リジェネもティエリアも、あどけない寝顔で眠っている。
扇風機をニールは止めた。空調をきかせ部屋の温度が下がってきたからだ。逆に風邪をひいてしまうかもしれないので。
ニールは、ティエリアとリジェネの頭をなで、髪をすくと、隣にもう一組布団をしいて、そこに横になる。
「俺だけ仲間はずれはずるいぞ、二人とも」
ニールは、リジェネとティエリアに薄い夏用の毛布をかぶせると、目を閉じる。
リジェネとティエリアは眠ったままだ。
ニールも目を閉じる。
ティエリアを二人で抱きしめあうような形で、眠りにつく。

ミーンミーン。
蝉の声が、遠くでずっと響いていた。



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切腹!!!
タチバナ様のイラストより・・・・。リジェティエで夏だなぁと思いながら・・・・。
世界が終わっても番外編みたいなかんじでもっさり。