血と聖水X「ネイ」







「血と聖水の名において、アーメン!」
ティエリアが、二丁の銀の純でヴァンピールたちの額を次々とうちぬいていく。
南のその町は、ヴァンピールだらけだった。
「この様子じゃ、生存者はいなさそうだな」
ロックオンが、炎のブレスを吐いて、迫ってくるヴァンピールたちを灰にする。
「酷いなこれは・・・さっきの隣町もヴァンピールだらけだった。無差別か。糧にするだけなら、こんなにもたくさん血を吸うわけがない。快楽殺人か」
刹那が、ビームサーベルで襲い掛かってくるヴァンピールたちを次々と切り倒す。
「フェニックス!燃やし尽くせ!」
刹那の精霊は風か炎の属性のみ。その中でもフェニックスを好んで刹那は使役する。
真紅の鳳凰が、ヴァンピールたちを燃やし尽くして灰にかえていく。

「ティエリア、ふせて!」
リジェネが、ティエリアを庇って地面に転がる。
その背中は大きくえぐれ、大量の血が吹き出た。
「リジェネ!」
「つう・・・・・ぐ」
リジェネはすぐに傷を再生させる。
「ティエ・・・・上・・・・」
リジェネは息を荒くしながら、ロックオンを見る。

「お兄ちゃんたち、死んで?」
子供だった。
背中には大きな白い翼。血の帝国の民である、エターナルヴァンパイアの証。
もしくは貴族、皇族、皇帝・・・・。

次の攻撃がくる。
血の刃は刹那に襲い掛かる。
「ぐ・・・・フェニックス!」
刹那はビームサーベルで血の刃を切り落とすと、フェニックスを宙に浮いたままの子供のエターナルヴァンパイアに向ける。
紅蓮の炎に包まれて、けれど子供は楽しそうに笑っていた。
「フェニックス、いけ」
「な!」
さらに火力を増倍したフェニックスが、刹那を包み込んだ。
「刹那!」
ロックオンが、結界をはって刹那をなんとか紅蓮の炎から守るが、炎はもともとの召還者であった刹那の中に吸い込まれていく。
「があああああああ!!」
身も焦げるような熱さ。
普通なら灰になる。
「フェンリル!」
ティエリアが、刹那にフェンリルで氷のブレスを吐かせた。
「結界が、通じない・・・・だと。嘘だろ」
ロックオンが驚愕に目を見開く。

伸びる白い翼は、巨大。
それが、この子供のエターナルの力を現している。
茶色の柔らかそうな髪に、エメラルド色の瞳。

この子供、どこかで。
そう、どこかで・・・・。

誰でもない。
それは、「俺」の幼い頃の姿。

「ネイは、俺だ!!」
ロックオンが叫ぶ。
子供の笑いが止まる。
「嘘。ネイは僕だ」
「違う!お前はネイじゃない!何故なら、ネイは俺しかいないからだ!」

リジェネ、刹那、ティエリアが立ち上がる。
それぞれ、ビームサーベルを手に。



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