血と聖水X「クローンVS覚醒」







コトリと、糸が切れたように三人は地面に蹲る。
与えられた血が全身を支配しようとしている。
刹那もティエリアもリジェネも、このままただの人形のゆうに、この子供のエターナルのヴァンピールになるくらいならと、銀の短剣を取り出していた。
「神よ、我に慈悲あれ!!」
神の存在など信じない三人は、神の名を叫ぶ。
「太陽神ライフエルよ、慈悲あれ」
「神よ、どうか慈悲を」

「あ・・・・・・・・我は。我はどうすれば」
ライフエルは、金と銀のオッドアイで三人を見つめている。
ポタリと、涙がライフエルの瞳から溢れた。

完全に動かなくなったロックオンの首を、子供は胴から切り離した。

「ロックオ・・・今、いきます。あなたの元へ」
涙を流し、微笑みながら、首元に銀の短剣をきらめかせるが、体がゆうことをきかない。

「あははははは!!!これで、これでネイは僕だけだ!!ネイは!ネイは僕だ!ネイは・・・・・血の帝国は全て僕のものだ!イブリヒムめ、ざまぁみろ!僕を失敗作だなんていうからだ!ネイの血で僕を作りながら、皇帝を僕に渡さないから、死ぬんだよ!僕は、失敗作なんかじゃない!僕こそがネイだ!!」

子供は、狂ったように笑っていた。
血の涙を流しながら。

刹那もリジェネもティエリアも、自害できそうでできないでいる。
「君たちは僕の玩具だよ。これからもずっと、よろしくね♪」
「誰が・・・」
「このガキが!」
「ロックオン・・・・許して下さい。死を、僕に」

「ほら、これあげる」
ビチャ。
ティエリアの目の前に、ロックオンの生首を投げつける。
「いやあああああああああああ!!」
ティエリアは、泣き叫んでロックオンの生首を両手で掴んで・・・・血まみれになりながら、唇にキスをした。
そして、ぎゅっと大切に抱きしめる。
「あなたのもの。僕はあなただけのもの・・・・」
「そうだぜぇ。お前は、俺だけのものだ」
生首だったロックオンは瞳を開けた。綺麗なエメラルドの瞳。
ボタボタと滴る血に子供は眉を怒らせながら。
「しつこいな。ネイは僕なんだよ。お前なんていらない」

光ではなく、漆黒の闇が溢れた。
ロックオンの首を包み込み、切り離された胴はすでに灰となっていた。
「我を、誰と思うておるか。我は血の神、夜の皇帝ネイぞ!!!」

闇がきえた時、真っ白な翼を6枚もつロックオンがそこに立っていた。
「翼が六枚!?」
子供が叫ぶ。
いや、ネイのクローンが。
「我の出来損ないが。我の血で我を作れると思うたか!」
クローンを血の刃で切り裂いて、ロックオンはゆらりと闇を纏いながら優雅に微笑んだ。
そして、銀の短剣で命を絶とうとしている三人の手から、短剣を奪いとる。
「なんのために、我がこの世界でもう一度そなたら三人に命を与えたと思うておる。愛しておるよ、刹那、リジェネ、そして愛しいティエリア」



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