あなたの背中







「ほら、おぶってやるよ」
「はい」
ティエリアは素直にロックオンの背中に体を委ねる。

広い背中。自分と違って逞しい。
無性の中性であるティエリアには望んでも手に入らないもの。
肩甲骨を撫でてから、ティエリアはロックオンの頭に手を置いた。

ジャボテンダーをぶんぶん振りまわして、トレミーの廊下をロックオンが走る。
「ジャボテンダーマン、ロックオン&ティエリア登場!」
ロックオンが笑う。
そのまま、すれ違い様に刹那の頭をジャボテンダーでべしっ。
「刹那失格!」
「ち」
刹那は走りすぎて汗をかいていた。
「次の目標アレルヤ!」
ロックオンは、背中にティエリアを背負ったかんじもなく軽やかにしなやかに走る。

「バツゲームトイレ掃除とか、ありえないよ!!」
アレルヤは逃げる。
その距離は縮まることがない。
ティエリアはジャボテンダーを投げた。

ゴン!
頭をぶつけて、アレルヤは気を失った。

ジャボテンダーの中には鉄アレイがしこんであった。はっきり言って凶器だ。

「ジャボテンダーマンのかち!」
ティエリアは嬉しそうに、次々とクルーをジャボテンダーで襲っていく。

ジャボテンダーごっこ。
今日のジャボテンダーは鉄アレイ入り。
一人ティエリアと組んだロックオンは無事。

大量の怪我人がドクター・モレノのところに届けられて、あとで二人して正座してお説教を受ける羽目になったのはいうまでもない。