ミーンミーン。 蝉のなく声が近い。 ティエリアはかっと照りつける太陽を仰いで、うちわをあおぐ。 「暑い」 ティエリアは夏に弱い。 向日葵畑に囲まれて、ティエリアは歩く。 「ほら」 「ひゃっ」 冷えた飲料水を頬にあてられて、ティエリアの声は高く裏返った。 「ロックオン、悪戯しないで!」 ティエリアがぷんぷん怒る。 「でも、冷たくてきもちいいだろ?」 ティエリアは、飲料水よりもその冷たさで冷えたロックオンの手をとって、頬にあて額にあて、そして手の甲にキスをする。 「あなたの手のほうが気持ちいい」 小さなジャボテンダーのキーホルダーが、ティエリアの携帯ストラップになっていた。 ピルルルル。 「もしもし?」 「俺だよ」 少し前を歩くロックオンが、わざわざティエリアの携帯に電話をかけた。 「こんなことしなくても、声は届くのに」 「たまにはこういうのもいいじゃないか。好きだよ」 「バカ」 ティエリアは携帯を切った。 空に向かって手を伸ばす。どんなに伸ばしても、空が手に届くことはない。 「ほれ」 「きゃあ!」 ティエリアはまた高い声をあげる。 ロックオンがティエリアを肩車したのだ。 「これで、空も少しは近いだろ」 「視線が高い。向日葵・・・どこまででも続いてる」 「このまま帰ろうか」 ロックオンの肩に手を固定して、二人は歩きだす。 「ガッタイ、ガッタイ!」 「ハロ!」 ティエリアが、ハロにいいきかせる。 「なんか卑猥だからやめなさい、ハロさん」 「ははは、いいじゃないか」 二人の影に、刹那が日よけとばかりに入り込む。 「刹那も肩車してやろうか?」 「いい」 刹那はアイスクリームを取り出して、片方を割ってティエリアに渡した。 「ありがとう、刹那」 「ロックオンの分はない」 ロックオンは笑って、刹那がかじっていたアイスを一口食べた。 「頬についてる」 舐めとられて、ボッと、刹那が紅くなる。 「ハハハ、かわいいな刹那」 「刹那は純情なお子様だから」 「誰がだ!ティエリア、アイス返せ」 ピョンピョンはねる刹那に苦笑するみんな。 「届かないだろ」 「俺はガンダムだ!」 「刹那、ほら」 一番後ろを歩いていたアレルヤが、刹那を肩車した。 「視線が高い」 「気持ちいいかい?」 「暑苦しい」 「もー」 アレルヤは苦笑いする。 刹那はアイスをもう1本取り出して割って、アレルヤとロックオンに渡した。 「ありがとう、刹那」 「サンキュー」 四人はアイスをかじりながら、向日葵畑の真ん中を貫く道を歩き続ける。 それは夏の暑い日の、ひとこま。 ************************* みんなで家族みたいなかんじがいいなぁ。 ロックオンとティエリアは恋人。 刹那とロックオンは実は仲のいい兄弟。 アレルヤはみんなを見守る人(空気) 最近ロク刹が密かなブーム。ロク刹っていっても兄弟みたいな関係で、恋人、恋愛感情はなし。 ロックオンにはやっぱりティエリアだ! |