白く溶けて







「このお墓・・・誰のもの?」
フェルトが、花を添えたリジェネの後姿を見る。
「リボンズを愛し、ただ愛されたかった者の墓」
「・・・・・・それはあなたじゃ?」
リジェネは首を振る。
「彼女は純粋にリボンズを愛していた。僕は・・・・なんていうんだろう。彼を作った責任感もあるから」
「彼女?」
粗末な十字架を木で象った墓。
名前すら刻まれていない。

「名前、教えて」
「ヒリング・ケア。リボンズのツイン」
「ツイン・・・・」




「ツインはもう一人のリボンズ。彼女は女性型だったけどね。天使のように無邪気な子だったよ。無邪気な悪意。それが彼女を滅ぼした」
「天使・・・・今頃は、ちゃんと天に召されているのかしら」
リジェネは首を振る。
「さぁね」
墓の背後に純白の一対の翼が見えた気がして、フェルトは目をこすった。
白い光が見える。
それはふわふわと天使の羽か雪のように降り注いで、フェルトの中にも入ってきた。

「リボンズ・・・どこ、リボンズ。寒いの、ここは寒いの。あなたは何処にいるの」
「リボンズなら、月の裏側で凍り付いてるよ」
エーテルの存在を見るのは、フェルトははじめてだった。
ヒリング・ケアは、白い輪郭をぼやかしながらリジェネのさししめした方角、月へと昇っていく。


「ここにいたの、リボンズ」
エクシアとの戦闘で、宇宙の温度で凍りついたままのリボンズの頬を、ヒリングの光の手が優しくなで上げる。
「返事して、リボンズ。愛してるの」
「それに、もう用はないよ」
「リボンズ?」
太陽のコロナの逆光で顔は見えなかった。
「ヒリング、ずっと彷徨っていたんだね。さぁ、いこう。皆がまつ世界へ」
「何処へ?」
「新しい魂の出発地点」
「そう・・・」
ヒリングはリボンズに抱きしめられながら、涙をこぼした。
二つの魂は、溶け合いながら白い雪となってきえた。
凍りついたはずのリボンズの遺体の右目から、涙が零れ落ちた。

リン。

それは白い波紋となって静寂の世界を包み込む。

「見て、私翼が生えてるの」
ヒリングは嬉しそうに微笑んで、同じく翼の生えているリボンズの手を握り締めながら、エーテルの渦、世界の源へと還っていく。

「私、あなたのツインでよかった」

どこまでも無邪気に、ヒリングは微笑む。
もうそこに、負の感情はない。

白い翼と一緒に、ヒリングは溶けていく。
リボンズも溶けていく。

還っていく。

世界へ。

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30万リクエスト、ユウキ様よりヒリングとフェルト、白っぽいイメージの絵。
おまけの短文SSつき。
こ、これが限界です・・・白っぽいっていうか色をぼかしてるだけ。
これ白なのかいやまぁ白っぽい(自分中では)
こんなのでよろしかったでしょうか!
 7月半ばあたりまで30万リクエストまだ受け付けてます。
一度だけでなくても複数可能ですので、また気が向けばリクエストしてやってください。