ゴスロリ







「はい、ティエリアはこれな」
ロックオンの私的な好みのゴスロリの衣装を渡される。
ヘッドフリルのかわりにリボンがたくさんついた帽子がついている。黒で統一されたゴスロリ衣装。
「刹那、だめだよ罰ゲームなんだから」
アレルヤの腕にかじりついている刹那を、ロックオンがつまみあげる。
「はい、刹那はこれな」
渡されたのはこれまたゴスロリ衣装。
白で統一されている。
「罰ゲームで女装などあるか!」
「提案したのは刹那でしょ。僕もロックオンもやったんだから、刹那一人逃げるのはずるいよ」
ぐっ。

ロックオンとアレルヤの女装は非常に滑稽で、刹那は腹筋が痙攣するまで笑った。笑いすぎて呼吸困難にもなった。
でも、いざ自分の番の罰ゲームとなると、刹那も逃げる。
アレルヤとロックオンはニヤリと笑って、刹那を追い詰める。
そして、着替え部屋にティエリアと一緒に放り込んだ。
ティエリアは女性よりの中性、無性なので女装するという感覚はない。慣らされてしまって、下着も女性ものをつけているし、ミニスカートだって平気ではく。
まぁ、スースーするという理由で下に半ズボンをはくが、これは仕方ないだろう。
長いこと男性として、一応は通してきたこともあるし。

刹那は屈辱に震えていた。
「刹那、僕の衣装と取り替えようか」
ティエリアが、衣装を床に叩き付けた刹那の頭を撫でる。
「それもどうせ女物だろうが!」
「これ、男女どちらでもいけるユニセックスタイプ。スカートじゃないよ」
「ほんとか?」
刹那の目が耀いた。
「でも、こんなフリルやらレースやらリボンやらゴテゴテした衣装」
「罰ゲームは女装。言い出したのは刹那。君は自分がいいだしたことも守れないのかい?」
「そんなことはない」
刹那は、ティエリアから黒のゴスロリ衣装を渡され、二人して違う方向を向いて着替えていく。
「なんだこれは、どうなってるんだ」
「僕はなれてるから」
白のゴスロリ衣装に身を包み、ヘッドフリルまでつけたティエリアはかわいかった。
まるでアンティークドールのようだ。

「ティエリア、人形みたいだ」
「よく言われる。こういう格好すると、嫌なくらいにあってるって」
「これはこうでこうでこう?」
リボンをぐるぐる巻きつける刹那に、ティエリアは苦笑して衣装を正しくきせていく。
「できた」
「うーん。変なかんじだ。ごてごてしている」
リボンがいっぱいの帽子をかぶって、完成。
二人とも厚底のブーツをはいている。
刹那の服は、ユニセックスといったとおり、男の子でも着れる様なハーフパンツタイプの衣服だった。

「ほら、いくよ」
ティエリアに手をひっぱられて、刹那はこけそうになりながらもついていく。

「見てみて、刹那かわいいの」
ティエリアの周囲にハートが飛び交っている。
自分の姿なんて気にしないティエリア。刹那は、ボーイッシュな少女のように見えた。

ブバッ

年長組二人は、ゴスロリに着替えたティエリアと刹那を見て、いつものように大量に鼻血を吹き出した。
「刹那、一回でいいからお姫様だっこさせて〜」
「くるな、この変態!!」
「刹那、写真とるよー」
「とるな!」
かまわず、アレルヤは写真のシャッターをきる。
ティエリアは慣れているので、笑顔を浮かべる。
「刹那、笑顔笑顔」
「そうだぜ、刹那笑顔だ」

「そんなもの・・・・」

「笑顔浮かべてくれたら、ネットでお前が欲しがってたガンプラの最新資料とりよせてやるぜ」
ロックオンの言葉に、刹那がぎこちない笑顔を浮かべる。
ガンプラは刹那の命。

そうしてとられた刹那とティエリアのゴスロリ衣装のツーショットは、クルーたちの間で高値で売買されたという。勿論売ったのはロックオン。

フーッと、毛を逆立てて、刹那はロックオンをパンチするけど、ロックオンは念願のゴスロリ衣装きた刹那をお姫様だっこできて満足だったとさ。