「刹那、大分髪が伸びてきたね」 いろんな方向にはねまくっている黒髪は、確かに伸びてきた。 目にかかってうっとうしいので耳にかけているが。 「はい。かわいい」 パチンパチンと、ヘアピンをつけられた。 フェルトは本気でかわいいと思っているのだろう。 刹那は複雑だった。 「フェルト。髪を切ってくれ」 「あら、私でいいの?」 「他に頼める人間が・・・アレルヤに頼んだ時は十円ハゲができた。ロックオンが一番無難だが、フェルトに切って欲しい」 「でも、私そんなに器用じゃないよ?」 「構わない」 「ザックザクになるかもよ?」 「構わない」 こうして刹那は、フェルトに髪を切ってももらうことになった。 もともと散髪に関しては、美容院など行かずに自分で適当に切ったりする刹那だ。少しくらい切りすぎになったりザンバラになったりしても気にする性格ではない。 フェルトは霧吹きで刹那の髪をぬらして、シャキンシャキンと鋏で切っていく。 「あ」 「あ?」 「ううん、なんでもないの」 「うお」 「うお?」 「ううん、なんでもないの」 フェルトはこっちが切りすぎたら反対側をきって、そっちも切りすぎて・・・とにかく切りすぎた。 「ど、どうしよう刹那。切りすぎちゃった」 「構わない。どうせそのうち伸びる」 鏡を渡されて、刹那は微妙な表情になった。 横髪だけが長いまま。 「フェルト、横髪も切ってくれ」 「じゃあ、遠慮なく」 ざっくり。 もう揃えるとかそんな次元の問題ではなくなっていた。でも頼んだのは刹那なので文句はいわない。 「ありがとう、フェルト」 フェルトの額にキスをして、床に散らばった髪を掃除して片付ける。 「はい、刹那」 パチン、パチン。 両サイドの髪に、フェルトはヘアピンをつけることが気に入ったようで、花模様のついたかわいいヘアピンでとめられる。 「失敗してごめんなさい」 「構わない。そのうちまた伸びる。それに頼んだのは俺だ」 「刹那、髪がザンバラだなぁ。揃えてやろうか?」 ニールが刹那の髪をみてそういうが、刹那はクビをふる。 「必要ない」 「それにしても、ヘアピンつけた刹那かわいいぞ」 「変態。鼻血は出すなよ」 「かわいいよね」 アレルヤと一緒になって、ついでにライルも含めて三人で鼻血を垂らしていた。 「写真とらせろよ、刹那!」 ライルが刹那を追いかける。 刹那は逃げる。 「必要ない!」 ああ、どこまで昔のアホマイズターズのようで。 ティエリアと刹那のかわいい姿をみれば、年長組は決まって鼻血をだしていた。 「こっちだ、刹那!」 ティエリアとリジェネが、刹那を匿ってくれた。 「そのヘアピンかわいいね。誰にもらったの?」 リジェネがきいてくる。 「フェルトだ」 「へぇ。僕もつけてもらおう」 次の生贄はリジェネとなった。 かわいいヘアピンをして、さらに伸びた髪をポニーテールにしたリジェネを、アレルヤ、ライル、ニールが写真にとらせてくれと追い掛け回す。 「マイスターの年長組はなんなんだ!」 「昔からこうだったよ、リジェネ?」 ティエリアは慣れた風に笑っていた。 しばらく刹那はフェルトからヘアピンで髪をとめてもらい、その姿で行動していたそうな。 ****************** 3期、みんな生きてる世界で刹フェル。 好きなCPなのにかいてるのニルティエばかりだから。。。 |