熱(3期)







フェルトが珍しく風邪をひいた。
刹那はずっとその看病につきっきりだった。
「リンゴ食べるか?」
「うん」

刹那はりんごをむいていく。皮をむいて芯までむいていく。綺麗に身はながーいべろーんとしたものになった。
「刹那、おかしい」
フェルトがベッドの中で笑った。
「おかしいな。うさぎのカットをするつもりだったんだが」
「そのままでいいよ。食べさせて」
長くなったリンゴをフェルトに食べさせた。

「解熱剤は飲んだか?」
「ううん、まだ」
刹那は薬を噛み砕いて、水と一緒にフェルトに口移しで飲ませた。
「ん」
舌がからまって、フェルトの声が少し高くなる。
「もう少し、水を飲んでおけ」
刹那は口移しで水を何度も飲ます。

「汗をかいただろう。着替えるか?」
「うん」
刹那は蒸しタオルをもってきて、フェルトの体をふくと、新しいパジャマに着替えさせてやった。熱をすったシーツと毛布を新しいものにとりかえて、着ていたパジャマと一緒に洗濯に出すことにする。

「刹那。傍にいて」
「ちゃんといるよ」
フェルトの額に冷えピタシートをはって、刹那は優しく微笑むのだった。