フェルトが珍しく風邪をひいた。 刹那はずっとその看病につきっきりだった。 「リンゴ食べるか?」 「うん」 刹那はりんごをむいていく。皮をむいて芯までむいていく。綺麗に身はながーいべろーんとしたものになった。 「刹那、おかしい」 フェルトがベッドの中で笑った。 「おかしいな。うさぎのカットをするつもりだったんだが」 「そのままでいいよ。食べさせて」 長くなったリンゴをフェルトに食べさせた。 「解熱剤は飲んだか?」 「ううん、まだ」 刹那は薬を噛み砕いて、水と一緒にフェルトに口移しで飲ませた。 「ん」 舌がからまって、フェルトの声が少し高くなる。 「もう少し、水を飲んでおけ」 刹那は口移しで水を何度も飲ます。 「汗をかいただろう。着替えるか?」 「うん」 刹那は蒸しタオルをもってきて、フェルトの体をふくと、新しいパジャマに着替えさせてやった。熱をすったシーツと毛布を新しいものにとりかえて、着ていたパジャマと一緒に洗濯に出すことにする。 「刹那。傍にいて」 「ちゃんといるよ」 フェルトの額に冷えピタシートをはって、刹那は優しく微笑むのだった。 |