「刹那」 「どうかしたか、ティエリア」 「珍しいな。ピアスをつけているのか」 「ああ。ルビーだ」 「ビジョンブラッドだな」 「よく知っているな」 ルビーの最高級と言われる鳩の血の色。 刹那は、二つつけていたルビーのピアスの一つをとって、ティエリアに渡した。 「やるよ。つけてみろ」 ティエリアもピアスをしている。ガーネットのものをとって、刹那がくれたものにつけかえる。 「体に穴をあけるという行為は、とてもじゃないが耐えられるものだとは思わなかった」 「慣れてしまえば平気だろう?」 「そうだな」 刹那は、少しだけ微笑んだ。 「君は変わったな。本当に。優しく微笑むようになった」 「ティエリアも優しく笑うようになったじゃないか」 「そうだな」 もう、この世界にティエリアが愛した人はいない。 もう、この世界で命をうけて何十年になるだろうか。 「リジェネは?」 「まだ寝ているよ」 「そうか。クランジェ4に出たいが、舵を頼めるか」 「何があるんだ?」 「大規模な流星雨が降る」 「へぇ」 ティエリアと刹那の右耳にはルビーのピアスが光る。 ティエリアの指には、ロックオンとのペアリングははまったままだ。 あれから世界は目まぐるしく変わっていった。 もう、仲間だったものたちはこの世界にはいない。 死んでしまった。 イノベイターとして、そしてイノベイドとして生きる刹那、ティエリア、リジェネが残った三人になってしまった。 無限の時を生きる。それが宿命。 今でもティエリアはロックオンを愛している。 刹那も愛している。リジェネも愛している。 刹那とティエリアは、今は恋人同士だ。 リジェネも愛しているけれど。 「刹那」 赤いターバンをした黒の私服の後姿が、ふいに世界に溶けていきそうでティエリアは手を伸ばす。 「ここに、いるよ。俺は、この世界でティエリアの傍にいつでもいる」 「そうだな。僕も君の傍にいる」 二人はあまり愛を囁かない。 ティエリアが今でもロックオンを愛しているからだ。 「傍に、いろ、刹那。僕の前からいなくなるな」 ぎゅっと、青年になったまま21で時をとめてしまった刹那を、17のまま時をとめてしまった華奢なティエリアが抱きしめる。 「愛してる」 「愛してる」 どうか、この世界がこのまま平穏でありますように。 残された僕らは、このまま世界をそっと見守り静かに生きる。 「再生された世界が、こんなに穏かになるなんて思わなかった」 「生きているのは辛いか?」 「いいや。君がいるから、辛くはない」 「そうか」 二人の身長は、何気にシークレットブーツをはいている刹那のせいで、刹那のほうが高くなっている。 もう、昔の制服に身を包むこともやめた。 気ままに着たい服をきる。地球に買出しに定期的に出かける。 「アンドロイドを・・・・」 「ティエリア?まさか、ニールの?」 地球では、アンドロイドが闊歩して、生産の大部分を占めている。 「いいや。子猫のアンドロイドを飼おうかと思って。ニールのアンドロイドは・・・いればそこにニールがいるように思えるだろうけど、形だけだ。彼じゃない」 首を振るティエリアの長く伸びた髪にキスを落として、刹那は瞳を閉じる。 「すまない。辛いことをいった」 「構わない。彼は、いつでも僕たちたちの心の中にいる。アレルヤも、ライルもみんな」 「そうだな」 ティエリアはトレミーの操舵室にいくと、席につき舵をとる。補佐に刹那がはいる。 「グランジェ4にトレミーは移動する。リジェネ、いい加減起きて来い!」 「うわあああ!!」 コールで呼び出されて、惰眠を貪っていたリジェネはベッドから転がり落ちた。 「いてて、あのツンデレ夫婦め・・・・」 *********************** 刹ティエかよ! なんかリジェネもいるよ? 世界からCBは消えてないけど、CBに戻らずにトレミーで三人で生活してる設定。 刹那の髪むずい。またゆんたっち。 |